シンガポール、コロナ感染をアプリで追跡、政府開発
【シンガポール=谷繭子】シンガポール政府は20日、新型コロナウイルスの感染経路を追跡するためのスマホ用のアプリを開発、無料配布を始めた。近距離無線通信「ブルートゥース」を使い、至近距離にいた人を感知、記録する。感染者と接触した人を追跡して隔離することで、感染の広がりを早期に抑える狙いだ。

このアプリは「トレース・トゥギャザー(一緒に追跡)」。アプリをダウンロードした人同士が近くにいると、互いに認識し、電話番号を暗号化したデータをスマホ内に記録する。新たな感染者が発覚したら、その人のスマホ内のデータを政府の追跡チームが解析、濃厚接触した人を洗い出す。
シンガポール政府はこれまでも感染者に行動場所や会った人を細かく聞き取り、濃厚接触者を追跡、隔離することで拡大抑制を目指してきた。ただ感染者の記憶に頼る聞き取り調査は、新型コロナの潜伏期間が長いこともあり、漏れが多かった。アプリで感染の可能性のある人をより早く、より多く見つけられると期待する。
アプリは希望者向けで強制はしない。ただ政府は「より多くの人が利用すれば、ウイルスから身を守ることができる」(ジャニル・プトゥチャリ情報通信担当国務相)として、ダウンロードを呼びかける方針だ。暗号化によりプライバシーは守れると開発担当者は強調する。
シンガポールでは英国留学生など海外からの帰国者の感染例が増えており、20日時点で感染者は385人に達した。政府は同日、250人以上の集会やコンサート、スポーツ大会などすべてのイベントは禁止すると発表した。また飲食店や映画館には21日以降、利用者同士が1メートル以上の距離を置けるような座席配置を義務付ける。準拠しない業者は罰金や営業免許の剥奪などで厳しく対処する。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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