名大・岐阜大4月統合 研究者評価など互いの長所採用

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2020/3/23 12:00
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名古屋大学と岐阜大学が運営法人を統合する「東海国立大学機構」が4月1日に発足する。両大学の長所を取り入れた人事制度や語学教育の共通化が始まる。事務の効率化を進め、国際競争力のある重点分野に予算を集中投下。優秀な人材獲得を狙う。国立大として初の試みがどのような成果につながるか、他大学などから注目が集まっている。

名古屋大学と岐阜大学

法人統合に向け、これまで両大学で互いの長所を検証し、双方で取り入れることを決めた。名大は短期間で結果が出にくい分野の教員を評価するため、岐阜大が行っている6年ごとの中長期的な「関門評価制度」を取り入れる。教育や研究など6分野において、本人と上司が評価を行い、昇級などに反映させる制度だ。

岐阜大は名大を参考に、研究設備の管理などを担う「技術職員」を、部局ごとの所属から一部を一元化していく。名大では「全学技術センター」に技術職員全員が所属し、情報通信や装置開発など6部門に分かれて研究や教育に高度な技術を提供している。

教育のあり方も見直す。人材不足が指摘される数理データサイエンスでは、海外の大学のノウハウを取り入れ、産業界と連携しながら実践的な教育を実施。語学教育では両大学の教員の授業を受けられるようにする。教養科目は双方向の講義など次世代型の教育を試みる。

こうした改革の背景にあるのが、18歳人口の減少だ。1992年には205万人だったが現在はほぼ半減。2032年には100万人を割る見込み。優秀な学生の獲得競争は激しさを増している。また産業構造が急激に変化するなか、これまで以上に人材育成の力が求められる。

このため、両大学は法人統合によって経理などの事務部門を効率化。人や財源を国際競争力のある糖鎖研究、航空宇宙、医療情報、農学の4分野に集中させる。とりわけ研究強化のシンボルに掲げるのが糖鎖研究だ。未知の生命現象の解明や将来的に新しい治療薬開発につながるとされ、岐阜大に新たな拠点を設ける。中部地方で盛んな航空宇宙産業を発展させるため、産学官一体の教育研究拠点も新設する。

医療情報の分野では互いの大学病院のカルテ情報を統合してデータを活用し、医療レベルの向上を目指す。農学分野では食料問題や環境問題の解決策を主に研究する。

名大と岐阜大はこれまでも国際競争力の強化に重きを置いてきた。名大は11年から英語のみで卒業できる秋入学コースを開設。卒業生の25%は欧米の一流大学院に進学する。ただ学生獲得競争は激しく、名大に合格しても辞退する留学生が少なくない。研究力の強化で国際的な知名度を上げることが課題だ。

ただ、周辺の国立大学などからは「統合により組織が肥大化するので、かえって非効率的だ」と懸念する声も聞かれる。名古屋大の松尾清一学長は「必ず成果を出す。新たな機構が核となり、産業界と地域が一体となって好循環を生む新しい国立大のモデルをつくりたい」と意気込む。(藤井将太)

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