米、現金給付1人1200ドル 共和党案発表、民主は反発

2020/3/20 7:50 (2020/3/20 11:11更新)
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【ワシントン=河浪武史】米共和党指導部は19日、新型コロナウイルス対策として1兆ドル(約110兆円)規模の景気刺激策を正式発表した。家計への現金給付は大人1人に1200ドル、子供にも500ドルとした。中小企業対策や航空会社の支援などに5000億ドルを充てる。ただ、野党・民主党は「企業優先の景気対策だ」と反発。成立に時間がかかれば市場の混乱が深まりかねない。

米共和党は民主党と協議し週内に可決を目指す(ワシントンの米議会)=ロイター

米共和党は民主党と協議し週内に可決を目指す(ワシントンの米議会)=ロイター

共和党の上院トップ、マコネル院内総務らが19日、法案を正式にまとめて発表した。トランプ大統領が1兆ドル規模の景気対策の策定を議会に求め、与野党指導部と調整していた。現金給付は4月中に実行する方針で、新型コロナの影響が長引けば「2回目の現金給付を実行する」(ムニューシン財務長官)という。

当初は大人1人あたり1000ドルで調整に入ったが、高所得者の給付に反対する民主党に配慮して、年収7万5千ドル以上の個人は給付額を縮小。同9万9千ドル超は対象外とする。一方で子供を支給対象に加えて子育て世帯に配慮し、大人への支給額も1200ドルに積み増した。

新型コロナの感染者は1万人に達し、死者数も150人を超えた。景気は急速に冷え込んでおり、経済対策は迅速な成立が欠かせない。ただ、野党・民主党は19日、ペロシ下院議長とシューマー上院院内総務が共同声明を出して「マコネル氏の提案は、労働者重視とは全く言えない」と主張。法案の最終決定に時間がかかる可能性が出てきた。

米上院は与党・共和党が過半数を握るが、下院は民主党が多数派だ。税制や財政の関連法案の成立には両院の可決が必要で、共和党案のままでは下院を通過しない可能性が高い。民主党は無給休暇を余儀なくされた雇用者らへの資金支援や、高齢者への食料・医薬品の確保など総額7500億ドル規模の独自経済対策を提案。トランプ政権と共和党は週内の成立と目指してきたが、調整が遅れれば金融市場の一段の混乱を招きかねない。

トランプ政権は当初、給与税の免除を軸に、議会側と景気刺激策の調整に入った。ただ、感染者が急増して景気の落ち込みが目立ち始めており、早期に家計を支援できる現金給付に切り替えた。今回の1兆ドル規模の経済対策が成立すれば、2008年の金融危機後の緊急対策(7000億ドル規模)などを上回って過去最大だ。21兆ドルある国内総生産(GDP)比でみて5%弱に相当する。

また、トランプ大統領は19日、航空機大手ボーイングなどを念頭に、民間企業に公的資金を注入する考えも示唆した。同日の記者会見で民間企業の株式取得の可能性を問われ「雇用の維持に重要で、大いに支持する」と答えた。対象産業として「航空、クルーズ船、ホテル業界などだ」と指摘した。米連邦政府は08年の金融危機後にも、自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)などの株式を取得して政府管理下に置いたことがある。

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