観光客、世界で消えゆく リーマン以来の大幅減予測

新型コロナ
2020/3/19 23:00
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欧米の有名観光地も人はまばらだ(18日、ニューヨーク)=AP

欧米の有名観光地も人はまばらだ(18日、ニューヨーク)=AP

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国際旅行客の往来が急速に細っている。2月の訪日客数は東日本大震災以来の減少幅となり、関連産業への影響が広がる。欧米の有名観光地も人はまばらで、国連世界観光機関(UNWTO)はリーマン・ショックの影響が出た2009年以来の減少を見込む。世界の国内総生産(GDP)の約1割を占める観光産業は展望を描けない苦境にある。

普段は人とぶつからなければ歩けないほど混雑するニューヨーク・マンハッタンのタイムズスクエア周辺は今、人影がまばらだ。ブランド店が多く並ぶ5番街も閑散としている。米商務省の統計(速報値、居住地別)によると、中国で新型コロナの流行が目立ち始めた1月、同国から米国への渡航者は前年同月比で5.7%減った。米政権が渡航制限を発動・拡大した2月、3月はさらなる落ち込みが必至だ。

UNWTOは3月上旬、20年の国際旅行客が19年の14億6千万人から1~3%減少するとの推計を公表した。人数ベースでは1500万~4400万人のマイナスとなる。重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した03年の300万人、リーマン・ショックの影響が反映された09年の3700万人を上回る規模だ。

予測では、感染が急速に広がっていたアジア太平洋が9~12%の減少と最も影響が大きいとしていたが、感染拡大の中心は欧州に移ってきている。世界最大の観光客数のフランスはGDPの約7%を観光業に依存する。仏政府は100人以上の集まりを禁止すると表明し、パリのエッフェル塔、ルーヴル美術館など主要観光施設は軒並み無期限で休業している。

欧州では事態が日に日に悪化しており、UNWTOの推計は「今となっては楽観的だ」(みずほ総合研究所の宮嶋貴之氏)。欧州では入国制限やそれに伴う航空便の欠航が相次ぎ、各国政府が航空会社の支援に乗り出した。減少幅はさらに拡大する可能性がある。

訪日消費のけん引役だった中国人客の恩恵を受けてきた百貨店も客足はめっきり減った。大手百貨店3社が16日発表した3月前半の免税売上高は全社で前年の同時期を8~9割下回った。大丸松坂屋百貨店では1~14日で前年同期比96%減、高島屋は同91%減った。三越伊勢丹は1~15日について伊勢丹新宿本店(東京・新宿)など主要3店の免税売上高が85%減だった。

百貨店各社では従業員や来店客の感染予防のため、時短営業や臨時休業を実施する動きも広がる。三越伊勢丹やそごう・西武が時短営業の延長を決めたほか、大丸松坂屋百貨店は3月に合計4日間、大丸東京店(東京・千代田)など全16店を原則臨時休業する。

旅行大手では、訪日客の国内ツアーなどの取り扱いが2~3月は「全くなくなったわけではないが、極めて少ない状況」(KNT-CTホールディングス)という。

国民に海外渡航を控えるよう要請している国も増えていることから「2月より3月の方が影響は大きくなりそうだ」(JTB)と今後の動きを憂慮する。本来3月は日本の桜を見るために訪日客が多く訪れるかき入れ時だ。日本旅行では「訪日団体客の来日時期を新型コロナの終息後にずらせないか交渉している」が、調整にも限界があるという。

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