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インターン人気首位 ニトリの「人生ゲーム」

就活ホンネ対談

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

学生のインターンシップ人気ランキングで1位になったニトリホールディングス。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、採用は順調に進んでいるという。ニトリホールディングス全体の人事を統括している組織開発室の永島寛之室長を採用コンサルタントの曽和利光氏が訪ね、秘密を探った。

就活

 ■他社に流れてもいい

 曽和氏 永島さんは4年前にニトリの採用責任者になりました。当時はどんな採用課題があったのでしょうか。

 永島氏 当時は小売り志望の学生が多く集まっていました。しかし、ウチは『製造物流IT小売業』を掲げています。小売りに興味ある人はもちろん必要ですが、製造業としてものづくりに携われるメーカー志望者も必要なんです。極端に言えば『ニトリを志望していない人』が足りなかったです。

もう一つはニトリという会社ではどのようなキャリアを積めるかということを入社前後できちんと示せていなかったことです。そのため「そんなはずじゃなかった」と早期離職する方も一定数いました。

 曽和氏 学生へのメッセージがぶれていたということですか。

 永島氏 入社してもらいたいという思いにだけフォーカスしていましたね。ですから入社前の段階からきちんと人事戦略を設計していこうとしました。

曽和氏 その結果かもしれませんが、「楽天みん就」の2021年卒インターン人気企業ランキングでニトリは初めて1位になりました。何が学生をひき付けているのですか。

 永島氏 決してウチに入ってもらおうとするのではなく、業界や経営視点などを学んでもらおうということを大切にしています。ウチのインターンをきっかけに就活を始めてくれればうれしいんです。

プログラムではまず、ボードゲームをやってもらいます。これは経営を肌で感じてもらうものです。例えば物流を甘く見ていると店に商品がなくなってしまうとか、為替が不利になったときに値上げすると潰れそうになるとか疑似体験することで、経営視点を身に付けてもらいます。もう一つは職業体験です。チームに分かれて実際にマーケティングや商品開発などを体験してもらいます。

 曽和氏 ニトリのインターンに行って、就活やキャリアを考えるのに役立つとわかれば後輩に勧めますもんね。

 永島氏 インターンを受けてウチの社員と話してみて、結局他社に行くとしてもいいんです。プログラムが役に立つとわかれば皆さんは自然と広めてくれますから。

 曽和氏 来る学生の幅は広がりましたか。

 永島氏 入社した人のうち4割がメーカーと併願した人でした。ITを受けていた人も多いです。逆に小売業と併願してくる人はあまりいないですね。

 曽和氏 攻めている採用をする会社は採用における競合企業が異業種にわたるケースが多いです。各業種のトップ企業のみを片っ端から受ける学生も多いのです。そういう学生に隠れた逸材がいることがあります。

 永島氏 小売業界の求人倍率は10倍を超えています。そこにとどまってアプローチするのは時代に即していません。

 ■異動の希望は尊重

 曽和氏 ニトリは数年おきに様々な部署へ異動を繰り返す「配転教育」に力を入れていますね。なぜですか。

 永島氏 組織の空きができたから人を補充するというのが通常の異動の考え方です。しかしニトリの場合はそこに教育という概念をつけています。配置転換は社員を成長させるためにあるという考え方です。本人の希望のキャリアを一番に尊重しています。

そのために年に2回、社員には「エンプロイージャーニーマップ」を作ってもらいます。30年後に自分はどんな社会課題を解決したいのか、どういう部署を経験してどういう自己育成をやっていくかを問うています。それをベースに配置転換するのです。

社員には学習コンテンツをたくさん用意しています。例えば商品部だったらマーケティングの勉強をどれだけしているか、将来どういうことを解決したくて何をやりたいか。ロマンとビジョンを持って会社を旅をしてもらいたいです。

 曽和氏 最近は優秀な人ほど、自分の人生を誰かに決められたくないと考えているようですね。

 永島氏 確かにそうですね。かつてのブランド企業でも経営不振に陥るケースがありますから当然でしょう。「この会社は成長できる舞台なのか」を常に重視しているようです。

配置転換によって各部署で専門性を深めることができます。複数の専門性を掛け合わせれば会社にイノベーションを起こしてもらえます。

 ■専任リクルーターで手厚く

 曽和氏 優秀な学生が集まると、内定辞退や入社後の早期離職が増える傾向があります。対策はとっていますか。

 永島氏 採用では専任リクルーターがいます。主に入社3~5年の若手にやってもらっています。学生のありとあらゆる相談にのったり、会社の魅力を伝えたりするのが役割です。

目的はそれだけではありません。これは若手社員を教育するためでもあります。会社のことを学生に説明するには会社を客観的に理解することが必要です。その上で自分が会社でどう成長したいのか、夢を語るわけです。こうして働く意識も自然と高まっていきます。

 曽和氏 リクルーターは何人いるんですか。

 永島氏 50人弱います。年間500人採用していますので、学生10人に対して1人の割合ですね。

 曽和氏 多いですね。いろいろな会社をみていますがこれほど専任リクルーターが多い会社はなかなかありません。これだけ真剣に学生に向き合ってきたからこそ、学生に支持される会社になったのでしょうね。

(構成 企業報道部 鈴木洋介)

◇   ◇

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