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とり天 大分のもてなしの味、食べ歩きも楽しみ

出張ご当地グルメ

鶏肉を天ぷらにした「とり天」は大分県ならではの味だ。下味をつけて揚げ、酢じょうゆベースのつけだれで食べる。薬味はカラシ、付け合わせの野菜は胃に優しいキャベツというのが一般的だ。洋食店から居酒屋、喫茶店と提供する店も多く、食べ歩きも楽しい。

唐揚げとはひと味違うとり天のルーツは、別府市の老舗レストランとの説のほか、大分市の料理人が1960年代に考案したとも伝えられる。一時は両市役所も絡んで元祖論争が起きたほどだ。

地元の食文化に詳しい門脇邦明さんは「大分県人は鶏肉好き。使用する肉の部位やたれも様々。バリエーションが多いのが魅力」と語る。家計調査によると大分市の1世帯あたりの鶏肉購入量(2017~19年の平均)は、県庁所在地市・政令市の中で1番だ。

キッチン丸山のとり天は特製酢じょうゆでカラシをたっぷりつけて味わう(大分市)

大分市の「キッチン丸山」ではもも肉に赤ワインや7~8種類のスパイスで下味をつける。とり天セットは750円だ。特製酢じょうゆにカラシをたっぷり混ぜて味わうスタイルは、ここが発祥ともいわれる。

レストラン「あんとれ」のとり天定食は行列ができるほどの人気(大分市)

レストラン「あんとれ」では皮と脂身を取った胸肉を約7ミリに薄く切り、自家製たれに1晩漬け込む。たれは新鮮さが命で、2日間で使い切る。定食(税別750円)を求めて列をなす客の要望でカラシでなくタルタルソースを出すこともある。「たれや揚げなど細やかな手間がかかるのがとり天。他都市ではなかなか広がらなかった一因では」と、経営者の青木巌さんは話す。

「こつこつ庵」は50年前の創業当初の味を守り続けている(大分市)

ビールや焼酎を片手にとり天を味わいたいという向きに人気なのは、関アジをはじめ大分料理がそろう「こつこつ庵(あん)」。消費税が上がっても650円で定食を提供する営業努力をする。松本宗三社長は「50年前の味と変わらない味を守り続けている」と胸を張る。出張ビジネス客の利用が多い割烹(かっぽう)「花邨(むら)」も下味に秘伝のたれを用いた優しい味が人気だ。

「花邨」は下味に秘伝のたれを使い、優しい味が特徴(大分市)

料理人が競い合うように工夫をこらして手間をかけ、様々な味わいのとり天を作る。ルーツ論争も、地元料理を観光資源に見据えた話題づくりにもなった感がある。地域の味をよりおいしく――。そんな心が、大分のとり天文化を支えている。

(大分支局長 奈良部光則)

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出張や家族旅行の際に楽しみとなるのが、各地のご当地料理。なぜその料理が地域を代表するようになったのか。ひもとくと意外、興味深い事実が明らかになり、食にもう一つの味わいを添える。全国の支社支局の記者がその土地を代表し、かつあまり高価ではなく、手の届きやすい料理を紹介する。

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