新型コロナで営業自粛、延長・再開で対応割れる

新型コロナウイルスの感染拡大防止を狙い営業を自粛しているサービスや小売り各社の対応が割れている。臨時休業していた一部のレジャー施設では、対策を導入したうえで営業を再開する動きが出始めた。小売りでは時短営業の期間を延長する動きもある。来店客や従業員の安全性の担保と収益確保のはざまで揺れている。
アミューズメント施設を運営するイオンファンタジーは19日、2日から休業中だったゲームセンターの営業を一斉に再開した。国内の商業施設に展開する433施設が対象で、感染拡大防止の対策を取りつつ営業再開に踏み切った。
ただ、平日の日中は高校生以下のみのグループに帰宅を促すほか、入場定員数の上限を引き下げて混雑状態をつくらないようにする対応策を導入。施設内の除菌清掃を強化するほか、非接触機器による来場者数の体温検査を実施する。
ゲームセンター運営のバンダイナムコアミューズメントも16日から約230施設の営業を再開した。シネマコンプレックス(複合映画館)大手のイオンエンターテイメント(東京・港)も休業中だった9劇場の営業を16日から再開した。来場者の席が隣り合わないように、1席を空けた状態でチケットを販売する対策を取る。
大型の屋外型レジャー施設では、再開エリアを制限した状態で開業する事例もある。
富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)は9日、一部の飲食店のみの営業を再開した。15日からは屋外のアトラクションの営業を順次再開。19日10時現在、ジェットコースター「ド・ドドンパ」などのアトラクションが営業中だが、一部のアトラクションでは従業員が集まらずに営業時間を短縮して運営する。
富士急では1人の従業員が別の時間帯で2つのアトラクションの誘導を担当するなど、通常とは異なるシフトを組んで対応している。ハウステンボスも16日から屋外施設の営業を再開した。屋内施設は22日までの休業を継続するが、お土産店や飲食店、屋外にあるイベントスペースなどは営業再開している。
舞台や劇場を主催する企業でも、営業再開の判断を巡って対応が割れている。
松竹は直営劇場で実施する歌舞伎などの公演中止期間を3月末まで延ばすと発表した。従来の中止期間は19日までだった。直営劇場である歌舞伎座(東京・中央)、新橋演舞場(同)、南座(京都市)、大阪松竹座(大阪市)で中止期間を延長する。ジャニーズ事務所も主催するコンサートの中止期間を31日まで延ばした。
営業再開に踏み切ったのは東宝だ。19日までの中止は決定していたが、帝国劇場(東京・千代田)などでの公演を20日再開する。休憩時間を従来に比べて10分増やし、休憩時間に外気を取り入れて換気する。
常磐興産は休業中の温泉リゾート施設のスパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)の営業を24日から再開する。営業時間を5~6時間短縮して再開するほか、入場前の体温測定を来場者に義務付ける。37.5度以上の発熱を確認した来場者は入場を断る。ハワイアンズ内に設置するステージで実施するフラダンスのショーなどは実施を当面見送る。
小売企業では三越伊勢丹ホールディングスが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、平日の時短営業を4月3日まで継続すると明らかにした。三越銀座店(東京・中央)など首都圏6店舗で3月2日から19日までの予定で営業時間を1~2時間短縮していたが、来店客と従業員の安全確保のために延長を決めた。土日祝日は通常通り営業する。

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