英ポンドが対ドルで35年ぶり安値 リスク回避でドル買い加速
【ロンドン=篠崎健太】18日の外国為替市場で英国の通貨ポンドが急落した。一時1ポンド=1.14ドル台半ばと、1985年3月以来となる約35年ぶりの安値水準をつけた。新型コロナウイルス拡大による世界景気の混乱を警戒し、リスク回避目的のドル買いが加速している。市場や企業活動が大きく乱れるなか、為替のスポット(直物)市場でもドルを手当てする動きが広がっているようだ。

ポンドは前日の1.20ドル台から一時、約5%値下がりした。2016年10月の「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれる瞬間的な急落時につけた、対ドルの安値を割り込んだ。3月9日の直近高値(約1.32ドル)からの下落率は1割あまりに達した。
新型コロナの脅威は英国でも急速に広がってきた。18日には感染者数の合計が約2600人と前日比700人近く増え、ジョンソン首相は20日から全国の学校を当面閉じると発表した。外出の抑制などで経済活動は既に大きく萎縮しており、英景気への悲観ムードが日増しに強まっている。
企業や金融機関が手元資金の確保に走り、ドル需要が逼迫していることもポンド売りにつながっている。市場関係者からは「(新型コロナの)未知の恐怖で皆がドル買いに走っている」との声が出ていた。オランダ金融大手INGは市場環境が落ち着かない限り、ポンドは対ドルで「1.10ドルまで下げる可能性が排除できない」と指摘する。
ドルへの殺到ぶりは、18日の英イングランド銀行(中央銀行)の資金供給オペ(公開市場操作)にも表れた。この日は主要6中銀が合意したドル供給拡充策に基づく、期間3カ月のドル供給オペが初めて行われた。落札額は通常の1週間物と合わせて154億5500万ドル(約1兆6700億円)と、1日としては米金融危機時の08年11月以来の高水準になった。

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