会計が分かるクイズ ファストリvs.しまむら
クイズで学ぶ会計知識(1)

日経マネー連載
日経マネー
2020/3/30 2:00
保存
共有
印刷
その他

写真はイメージ=PIXTA

写真はイメージ=PIXTA

ハードルが高い、難しいというイメージがある会計。しかし、実際のビジネスを念頭に入れて財務諸表を読むと、驚くほど企業の特徴が会計に反映されているのが分かる。SNS(交流サイト)で話題の「大手町のランダムウォーカー」こと福代和也さんが出題する会計クイズを解いて、ビジネスや投資に役立つ企業への理解を深めていこう。

今回のテーマは、

【稼ぎ方は損益計算書に出る(小売業編)】

小売業と一口に言っても、その内容は様々だ。同じようなものを売っていても、そのビジネスモデルは全く異なっていることもある。今回はその点を学んでみよう。


アパレル小売業首位で「ユニクロ」で知られるファーストリテイリングと、国内2位のしまむら
下の損益計算書2つは、AとBそれぞれどちらのものだろう?


損益計算書とは、企業の費用がどこに使われていて収益がどのように出ているのかを見る財務諸表だ。決算短信や有価証券報告書に記載されている。売上原価とは「商品の原材料・仕入れ費」、販管費は「人件費や広告費など物を売る際にかかったコスト」と考えればいい。これらを売上高から引いた残りが営業利益だ。(1)の方が売上高に占める売上原価の比率が小さく、営業利益が大きいが、これはなぜだろうか?

■Point1 ビジネスモデルの違い

ファーストリテイリングは、商品企画から生産、物流、販売まで一貫して自社で行うSPA(製造小売り)と呼ばれるビジネスモデルだ。商品の企画・生産段階から自社が関与しているため、通常の仕入れ販売で生じるような卸売業者への中間マージンが発生しない。このため低価格の商品を低コストで供給できる。「ZARA」で知られるスペインのインディテックスもSPAだ。

■Point2 SPAの損益計算書の特徴

SPAの損益計算書は、商品の原材料費や仕入れ費に相当する売上原価が少ないという特徴がある。卸売業者への中間マージンがないためで、その分売上高に占める営業利益の比率(売上高営業利益率)も高くなりがちだ。しまむらは仕入れ販売の不利を店舗マニュアルの標準化による販管費の抑制で補っている。


(1)がファーストリテイリング、(2)がしまむら


SPAには高い利益率以外にも様々な強みがある。企画段階から関わるため、消費者のニーズをとらえた商品を打ち出せるのも一つだ。ファーストリテイリングが成功したのは、SPAの強みを生かしたという側面が大きい。半面、製造業でもあるため生産トラブルが業績の逆風にもなる。新型コロナウイルスの流行が本格化した1月下旬以降に同社株が下落したのは、こうした懸念も背景にある。

●小売業には自社で商品企画から生産、物流、販売までを一貫して手掛けるSPA(製造小売り)という形態がある

●SPAは単に物を卸売業者から仕入れて売る仕入れ販売よりも高利益率であることが多い

●SPAは自社で商品を企画・生産できるため、柔軟に消費者の嗜好を捉えることができる利点もある

●半面、製造拠点がトラブルで止まると影響が大きくなりやすい。為替などの外部要因にも弱い

出題者はこの人
福代和也さん


Funda 代表取締役。中央大学専門職大学院修了、PwCあらた有限責任監査法人を経て2018年から現職。会計およびマーケティングに関するコンサル業務をメインに行う。「大手町のランダムウォーカー」としてSNS上で会計クイズを出題中。

[日経マネー2020年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年5月号 1万円からの勝てる株式投資入門

著者 :
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]