県都開発に勢い 四国の公示地価、香川29年ぶり下落脱す

2020/3/18 16:50
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国土交通省が18日に発表した2020年公示地価(1月1日時点)で、香川県が全用途平均で29年ぶりに下落から抜け出し横ばいとなり、四国の他の3県も下落率が縮小した。県庁所在地での再開発やインバウンド(訪日外国人)の増加が土地需要を高めてきた。新型コロナウイルスの感染拡大で先行きに不透明感が漂う。

JR四国は、高松駅に隣接する土地の再開発を計画する

JR四国は、高松駅に隣接する土地の再開発を計画する

JR四国が「一等地」と呼ぶ土地がある。高松駅に隣接する約2500平方メートルの空き地だ。陸の玄関口にふさわしい駅ビルを開発しようと3月1日付で「高松駅ビル準備室」を設置し、本格的に再開発へと動き出した。

駅近くのサンポートでは、香川県が新県立体育館の建設を予定する。収容人数は中四国最大級の約1万人で、23年度の完成を目指す。スポーツ大会やコンサートなどの開催を通じた交流人口の拡大への期待が高まる。

今年の公示地価で香川県の商業地は0.1%上がり、29年ぶりに上昇に転じた。住宅地も下げ止まった。けん引役は高松市で、住宅地・商業地ともに3年連続で上昇。再開発によるにぎわい創出への期待感や、インバウンドの増加によるホテル需要、長年の下落による値ごろ感が土地需要を高めてきた。

中でもインバウンドは大きな成長力で、観光庁の宿泊旅行統計調査によると、19年香川県内の外国人延べ宿泊者数(速報値)は18年比で27%増の69万人。現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2019」の開催などで観光地としての人気を高めた。

他3県の県都も土地取引に勢いが出てきた。

高知市は商業地が0.2%上がり、29年ぶり上昇に転じた。18年7月に開館した図書館複合施設「オーテピア」が人を呼び込み、来館者がさらに近隣の中心商店街である帯屋町を訪れるようになるなど、にぎわいをみせてきた。

松山市の商業地は3年連続で上昇し、住宅地は下げ止まり横ばいに。商業地で最も上昇率が高い伊予鉄道松山市駅周辺の花園町では、交流広場などの整備が計画され、近隣では複数のホテルが開業を予定している。徳島市は住宅地、商業地ともに上昇率が拡大した。

各県とも明るい材料が目立ったが、新型コロナの感染拡大で急速に雲行きは怪しくなっている。

香川県が県ホテル旅館生活衛生同業組合に依頼して実施した調査では、県内の宿泊施設で1~4月の予約キャンセルが2月末時点で合計12万6247人に上った。観光庁の宿泊旅行統計調査で19年1~4月(速報値)の県内の延べ宿泊者数が約131万人だったことを踏まえると、1割程度の規模感でキャンセルが発生したことになる。

香川分科会代表幹事を務める不動産鑑定士の鈴木祐司氏は、新型コロナについて「一過性だと地価には影響しないだろう」と話す。ただ、収束の兆しが見えないだけに、長期化した場合の影響を注視していく必要があるという。

愛媛県の不動産鑑定士、藤井徹哉氏は「長期化した場合でも、地価に影響が出るまでには数カ月から1年程度のタイムラグがあるだろう」と指摘。高知県の不動産鑑定士の畠山照章氏は「長引けば県内経済が悪化し、好転してきた地価への影響は避けられない」と懸念する。

■4県平均は下落続く、人口減が重荷
 四国4県は県庁所在地を中心に土地需要が高まってきたが、力強さに欠ける。全用途の変動率は全国平均が1.4%、三大都市圏を除く地方圏平均が0.8%それぞれ上昇したのに対し、四国は平均0.4%の下落だ。下落幅は前年比0.1ポイント小さくなったものの、少子高齢化や人口減の影響が重くのしかかる。

 全用途が29年ぶりに下落から抜け出し横ばいとなった香川県。上昇は高松市のみで、横ばいは高松市への通勤がしやすく宅地需要がある三木町のみ。残りの14市町は下落が続く。
 徳島県は22年連続で全用途で下落。1市3町で全用途はプラスだが、牟岐町が3.8%下落するなど二極化がより鮮明になっている。
 高知県は25年連続で全用途が下がった。高知市の商業地が29年ぶりに上昇に転じるなど好転の動きがある一方で、全体の調査地点の67%を占める98地点で下落した。
 愛媛県の全用途は28年連続の下落。松山市は2年連続で上昇したが、残りの市町は下落が続く。下落率の最大は大洲市で、西日本豪雨で大きな被害が出た影響は残る。

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