街づくりに芸術の視点 神戸市が美術専攻者らの採用枠
はたらく 関西の就活(2)

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関西タイムライン
2020/3/25 2:02 (2020/3/26 12:17更新)
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神戸市は2019年度から美術や映像、音楽を学んだ学生を採用する「デザイン・クリエイティブ枠」を設けた。自治体には法律や経済などの社会科学系学部の出身者が多く、芸術分野の採用枠導入は珍しい。都市間競争が激しくなるなか「個性のある政策が必要」(久元喜造市長)との考えから、異なる視点を持つ人材を組織に取りいれる。

4月入庁の1期生は中村さんら6人いる

4月入庁の1期生は中村さんら6人いる

神戸大学大学院で映画を研究する中村紀彦さん(28)は4月、1期生として入庁する。人気アイドル「乃木坂46」の映像制作や現代美術の雑誌「美術手帖」の映画論評に携わり、公務員になるつもりはまったくなかった。だが、神戸市の採用枠を知り、「培った創造力を魅力的な街づくりに貢献できる」と思ってエントリーした。

学生からの人気は高く、1期生の競争率は13倍を超えた。彼らは入庁後、芸術振興や広報といった専門性を発揮できる部署に配属される。実務経験を積んだのち、ほかの職員と同じように観光振興や都市開発の政策企画などに携わる。「異なる感性で市政をけん引してほしい」(人事委員会事務局)と期待は高い。

中村さんは現在、タイの映画監督、アピチャッポン・ウィーラセタクン氏の研究をしている。社会人になっても許可を得たうえで続ける意向を持つ。「研究過程で思いついたアイデアを市政に生かせるかもしれない」。住民の価値観が多様化するなか、異分野の人材の活躍が行政サービスの満足度向上につながる可能性もある。

■公務員競争率は8年連続低下 受験者増へリクルーター制も

地方公務員の人気は低下傾向にある。総務省によると、2018年度の試験の競争率は5.8倍だった。10年度(9.2倍)をピークに8年連続で前年実績を下回っている。公務員は不景気になると人気が高まるとされる。08年のリーマン・ショックの影響が薄れるにつれ、企業志望の大学生が増えたとみられる。

受験者も18年度は46万9800人と、直近10年間で最多だった11年度(61万8700人)よりも2割超減った。総務省は「多様な人材を確保するには受験者を増やし、選択肢を広げることが重要」(公務員部)と指摘する。

自治体も手をこまぬいているわけではない。神戸市は18年度にリクルーター制度を導入した。入庁2~8年目の若手職員約190人が「神戸市採用ナビゲーター」として、学生に仕事の魅力や職場環境などを紹介する。学生からは「身近に職員がおらず、直接話す機会があってよかった」と好評という。自治体には地方公務員という職業に関心を持ってもらい、受験者を増やす取り組みが求められている。

(沖永翔也)

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