中国調剤ロボット、薬品1000種超を識別

36Kr
スタートアップGlobe
2020/3/19 2:00
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今、急成長を遂げているマシンビジョン産業。その活用分野は幅広く、電子機器の組み立て工程における寸法や欠陥の検査、位置決めのほか、半導体産業、自動車製造業、太陽光発電、交通などの分野でも応用されている。

中国では、マシンビジョン開発企業の大部分がサプライチェーン中流域のシステムインテグレーションに集中している。業界内のスタートアップは、大きな市場シェアを占める情報・通信・家電産業の他に、物流や食品、医療などのロングテールな領域での応用も模索している。

1000種以上の薬品を識別できる(庫柏特提供)

1000種以上の薬品を識別できる(庫柏特提供)

工業用ロボットのスマートシステムを開発・提供する「COBOT(庫柏特)」も応用分野を模索している企業の一つだ。2016年5月に設立された同社は医療分野にフォーカスし、特に医薬品の調剤に関しては小規模ながら実用化を果たしている。また同社の製品は食品検査に関わる分野でも活用されている。

創業者でCEOの李●(森の形に水を3つ)氏は、新技術の実用化には付加価値の高い分野を見つけることが必要だと考えた。初期には製造業や物流業での実用化を模索していたが、電子機器の検査基準は多岐にわたる上、モデルチェンジも頻繁に行われるという難点があった。物流業界では物流大手企業と提携して物流倉庫のスマート化を進めたものの、ピッキングや分別などの単純作業への応用にとどまり、市場のニーズにも限りがあった。このため付加価値が高く、産業チェーンが成熟している医薬品分野と食品産業をターゲットにしたのだ。

COBOTはソフトとハード組み合わせたサービスを提供している。主な製品はマシンビジョンと模倣学習をベースにした工業用ロボット操作システムで、対象物の位置決めや識別、移動を正確に行うことができる。

医療分野で実用化に成功した同社の製品は次世代スマート調剤ロボットで、主に「三甲医院」と呼ばれる中国最高クラスの大病院に納入されている。これは病院の薬剤室に設置され、ロボットアームやマシンビジョンを使って薬品のピックアップやチェックを行うもので、1000種以上の薬品を識別でき、その精度は99.99%に達する。診療時間終了後には、ロボットが薬品管理システムを通じて自動で薬品の補充も行う。これまで薬剤師が手作業で行っていた煩雑な作業をロボットが肩代わりしてくれるのだ。

調剤ロボットは中国の大病院に納入されている(同)

調剤ロボットは中国の大病院に納入されている(同)

さらに食品産業の検査においても同社の技術は生かされている。食品検査には安定したニーズがあり、大量の労働力を必要とするため、マシンビジョン技術を活用して生産ラインの最適化と効率化を進めることができると李●(森の形に水を3つ)氏は考えた。現在はシイタケ栽培とチョコレート製造にフォーカスして事業を展開している。1台で従業員4~6人分の仕事を行うシイタケ選別設備を開発したほか、工業用AIを駆使して欠陥品を識別するシステムにより有名チョコレートメーカーの歩留まり率や品質の均一性の向上に大きく貢献した。それ以外の多くの食品分野における品質検査のニーズについても、目下研究が進んでいる。

同社の昨年の年間売上高は5000万元(約7億4000万円)を突破した。今年は市場開拓と業界エコシステムの構築に重点を置く。医薬品分野では国内の三甲医院をメインターゲットにしながら欧米市場の開拓も進める計画で、今後も同社の成長を支える主要事業になるとみられる。同社はこれまでに「経緯創投(Matrix Partners China)」からシリーズAで4000万元(約5億9000万円)、「藍図創投(Lan Fund)」や「紀源資本(GGV)」などからシリーズBで1億200万元(約15億円)を調達している。

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中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/5291704)

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