「ゲーム1日60分」香川で条例成立、依存症対策議論促す

2020/3/18 11:30 (2020/3/19 18:43更新)
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ネット・ゲーム依存症対策条例議案の提案理由を説明する香川県議会議員(18日、高松市)

ネット・ゲーム依存症対策条例議案の提案理由を説明する香川県議会議員(18日、高松市)

 子どものインターネットやゲームへの依存症を防ごうと、コンピューターゲームの利用時間を1日60分までとする「目安」を盛り込んだ香川県の条例が18日、県議会で可決、成立した。4月1日から施行する。全国初の試みで、背景には世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を疾病として認定するなど、国際的な関心の高まりがある。

成立した「ネット・ゲーム依存症対策条例」は18歳未満を対象にゲーム利用時間を1日60分、休日は90分までとし、スマートフォンは中学生以下が午後9時まで、それ以外は午後10時までとする目安を設けた。

子どもがゲームやスマホを利用する際、各家庭がルール作りの参考にするよう呼びかける。罰則規定はない。浜田恵造県知事は「条例を踏まえて依存症防止に努めたい」と述べた。

県議会は2019年秋から条例検討委員会を開いて議論を重ねてきた。委員長を務めた大山一郎議長は「本来であれば依存症対策は国がやるべきことだが(条例をきっかけに)色々なところで議論になればいい」と話す。

条例で示した「ゲームは1日60分」という目安の根拠の一つとなっているのが、国立病院機構久里浜医療センターによる全国調査だ。平日のゲーム使用時間が1時間を超えると学業成績の低下が顕著になるとしている。

WHOが19年、日常生活よりゲームを優先する状態などが1年以上続く「ゲーム障害」を疾病として認定したことなどを背景に、依存症対策への関心は全国的に高まっている。

大阪府は19年3月、市町村教育委員会に対し、児童・生徒のスマホ利用のガイドラインを示した。利用時間の目安として「平日は30分、休日でも60分以内」と明記した。秋田県大館市教委はゲーム使用時間の目安を1日60分ほどとする条例案を検討している。

一方で、行政が目安時間を示すことを懸念する声も上がる。パブリックコメントで集まった2600超の意見の中には「どのくらい遊ばせるかは各家庭の教育方針において自由に決めるものだ」といった意見もあった。

子どもの創造力に影響も ITジャーナリストの高橋暁子氏の話 行政が一律に目安を示すのは賛成できない。親は子どもの使いすぎを注意しやすくなるかもしれないが、ゲームやスマホの利用時間を日常生活に支障のない範囲に収めることを子どもが自ら考えることが大切だ。

確かに友人同士で深夜までオンラインゲームに興じ、朝起きられないなどの問題はある。子どもが話し合い、学校単位で自主ルールを作る動きもあり、こうした取り組みを広げることが重要だ。

条例では中学生以下のスマホの利用を午後9時までとした。しかし、塾に通う子は帰宅が遅く、動画鑑賞など幅広いコンテンツに触れる機会が減ることで創造力を育む機会を奪うことにもなりかねない。

■家庭はルールづくり模索を 教育評論家の尾木直樹氏の話 子どもが自らを律する力を育むのは家庭の責任であり、それを支援することは社会の責任でもある。ゲームの時間を定めることが依存症対策の全てではないが、自治体が目安を示して家庭にルール作りを促した点は評価できる。各家庭はスマホの使い方に関する約束事について、子どもと相談しながら有効なあり方を模索すべきだ。

日本は「ゲーム障害」を専門とする医療機関が少ないなど、他国に比べて対策が非常に遅れている。香川県の条例は家庭だけでなく学校や医療機関も含めて、ゲーム依存症対策にどう取り組むかを総合的に打ち出しており、他の自治体のモデルケースになり得る。今回の条例が、子どもが依存症に陥らないための方策を国や自治体が考えるきっかけになればいい。

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