嵐の中の投資 知っておきたい2つの武器
知っ得 お金のトリセツ(1)

お金のトリセツ
コラム
2020/3/22 17:00
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写真はイメージ=PIXTA

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食べたものが体をつくり、使ったお金が人生をつくる――。人生100年時代にますます重要になる真剣なお金との対話。お金のことを考え続けてきたマネー・エディターが新連載「知っ得 お金のトリセツ」で気づきの手掛かりをお届けします。

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「人生100年、お金に働いてもらう」「預金じゃ増えない超低金利」。そう理解した上で最近、投資の大海にこぎ出した人は多いだろう。アタマではしっかり分かっている。でも怖いものは怖い。

「ダウ工業株30種平均、再び2000ドル超下落」「日経平均株価が連鎖安1000円超」……。こうなるとついつい目で追ってしまうのが価格の動き。でもちょっと一息ついて目線をずらしてみたらどうだろう。

■資産=価格×量

何に? 量だ。当たり前だが忘れがちな公式が「資産=価格×量」。価格が下がっても量が増えれば資産の総額は変わらない。その考えに基づく有効な投資戦略が積み立て投資だ。「なんだ、つみたてか」。シンプル過ぎてガッカリしたらこう言い換えてもいい。「ドルコスト平均法に基づく定時定額投資」

株式や投資信託、金など値動きのある金融商品を対象に、一定の間隔で同じ額を買い続ける積み立て投資にはその別名通り、コストをならす効果がある。買う額の方を一定に固定すれば価格が下がった時に購入量は増え、逆に上がった時には購入量を減らし「調整」してくれる。

仮に毎月1万円の積み立て投資でA社株を買う場合、株価が1万円なら買える量は1株。翌月5000円に下落すれば購入量は2株に増え、翌々月に2万に上昇すれば購入量は0.5株と半分に。3カ月の通算で投資元本3万円に対して保有株は3.5株なので単価8500円と安く仕込む効果がある。

■つみたてNISA、イデコ、DCで自動的に実践

アタマで理解しても心がすくむのは自分も同じ。実は企業型確定拠出年金(DC)の運用対象を元本保証型の預金100%から外国株指数と連動する投信に大胆に移し替えたのはつい1月末のこと。

DCは会社が掛け金を出してくれるから、その分を給料でもらった場合に比べ節税できて、さらに運用益も非課税。値動きのあるリスク資産での運用こそふさわしい、と日ごろ記事で訴えつつ放置していた自分の資産運用を「マネーのまなび」発足を機に見直したのだ。つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)やイデコ(個人型確定拠出年金)も基本的に同様の発想で自動的に長期積み立てを実践する器だ。

■あしたのために・その1 下げ局面は長期積み立て投資の養分なり

結果はあっという間に2割近い含み損。痛む心臓を押さえ「下げこそ養分」と呪文を唱えながら、日経平均の動きで検証してみた。日経平均が3万8915円のピークを付けたバブル時に100万円を一括投資した場合と、同じ額を一度でなく今まで30年超にわたり分割して投資した場合の比較(グラフ)だ。

一括投資は当然一度も元本を回復せず足元(1万7000円で計算)で6割近いマイナスに沈む。一方、毎年末に定額購入したと仮定すると、あら不思議。大幅に値を下げた今でも15万円近い含み益がある。下落時の大量仕入れが、その後いつか訪れる上昇時に一気に花開くのが積み立て投資だ。必要なのは下落を楽しむちょっとマゾヒスティックな心理か。

■あしたのために・その2 コア・サテライトで仕分けすべし

とはいえ、あまりに多額を投じていれば痛すぎる。耐え切れずに結果的に最悪タイミングで資産を売却してしまいかねない。それを防いでくれるのは「ま、本命じゃないし」の割り切りだろう。運用資産をコア(中核)とサテライト(衛星)に仕分けて管理する「コア・サテライト戦略」の考え方だ。

値動きの激しい資産は通常、2~3割程度のサテライトにとどめて全体のリスク量をコントロールする。万一大きく下落しても全体の中での比率が小さければダメージは限定的。投資のリターンの決定要因は8割方、資産配分が握るという説もある。

さて、目の前の相場。私たちが今、歴史的乱気流の中にいることは間違いない。それでも過去の歴史は長期的視点に立った地道な投資が報われてきたことを示す。そこから得た武器――片手にコア・サテライト運用、心にマゾヒスティックスピリット――を持って長期投資の航海に出発しようではありませんか。

山本由里(やまもと・ゆり) 1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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