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パニック買い、欧州でも 外出制限に不安高まる

(更新)

【パリ=白石透冴、ロンドン=佐竹実】新型コロナウイルスの感染が広がる欧州で17日、外出制限などの措置が始まった。各政府はウイルスを封じ込めて感染拡大を防ぐ狙いだが、強制的な措置にむしろ市民の不安は高まる。スーパーの棚からは商品が消え、ネット通販にも利用者が殺到する。政府は冷静な対応を呼びかけるものの、収束の出口が見えないままでは動揺は収まらない。

世界中からの観光客が長蛇の列を作るパリのルーヴル美術館前は、閑古鳥が鳴いていた。17日正午(日本時間同日午後8時)、新型コロナウイルス対策としてフランス全土で外出制限が始まった。国内の感染者は7千人を突破。買い物や通勤など以外の理由で外出した場合、135ユーロ(約1万6千円)の罰金刑とする厳しい措置を取る。

マクロン大統領は16日のテレビ演説で、「我々は(ウイルスとの)戦争状態にある」と国民に危機感を持つよう訴えた。17日からの外出制限は15日間。この間、人々はスーパーなどに買い物に行く以外は自宅にこもることを余儀なくされる。日本ではトイレットペーパーなどの日用品が品薄となったが、長期間自宅にこもる不安から食料品の買い占めも起きている。

「大丈夫とは思うけど、念のためとパンやビン詰めの野菜をたくさん買った」。パリ市在住の20代女性は17日朝、スーパーでカートをいっぱいにしながらこう述べた。特に減っているのがパスタや小麦粉で、陳列棚が空になっていることも珍しくない。17日から始まった外出制限では、買い物に行くにも毎回証明書を作らなくてはいけなくなった。一度の買い物でなるべくたくさん買いたいという心理も働いている。

イタリアの感染者は2万7千人を超え、スペインでも1万人に迫る。世界保健機関(WHO)は「いまや欧州がパンデミック(世界的な大流行)の震源地」と表現した。止まらない感染拡大を受け、欧州各国の政府はこの数日で強制的な措置にカジを切った。

ドイツは16日から、医療システムの崩壊を避けるためとして食料品店などを除く店舗を閉鎖。スイスは同日に非常事態を宣言し、ドイツやフランス、オーストリアなど隣国との国境管理を強化することを決めた。

英国のジョンソン首相も16日に記者会見し、できる限り在宅勤務にして不必要な他者との接触を避けるよう国民に要請した。英国人の社交場であるパブに行くことすら、自粛を求めた。異例の対応に、住民の不安心理は高まる。これまではトイレットペーパーが品薄になる程度だったが、17日のロンドン市内のスーパーではレジに長い行列ができ、肉や解熱鎮痛剤なども品切れになった。

外出を控える市民が増えたことで、特需となっているのがネット通販だ。英国のネットスーパー大手のオカドには注文が殺到して予約が取りづらい状態が続いている。他のネットスーパーのサイトもアクセスしづらい状態が続く。欧州で感染者が最も多いイタリアでも、大手スーパーなどの宅配サービスが普段の5倍の量で、配達が3月下旬以降になっている。

もっとも、パニック買いはあくまで不安心理の結果であり、供給が止まらない限りはいつか入手できる。ドイツでは野菜などは通常通り店頭にあり、「在庫は十分にある」という冷静な報道も目立つ。フランスのルメール経済・財務相は15日、「個人が責任を持って行動する限り、物資の不足は起きない」と記者会見で語った。

移動制限はもろ刃の剣だ。ウイルスをおさえ込むためには有効かもしれないが、制限によって経済活動が滞れば、生活必需品や食料品の供給が止まる可能性も否定できない。そうなれば人々の不安心理はさらに高まり、矛先は政府に跳ね返ってくる。生命や健康を守る未知のウイルスとの戦いは、的確な情報発信という難しい課題を突きつけている。

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