新卒1年目で年収800万円 求む「最強の素人」
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2020/3/24 2:02
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新卒入社1年目は年収800万~900万円――。計測機器開発のインテグラル・ジオメトリー・サイエンス(IGS、神戸市)は2017年4月入社から、高額報酬を提示して学生を募っている。同社は12年設立の神戸大学発スタートアップ企業。大企業を上回る条件で優秀な若手技術者を呼びこむ。

前沢さん(左)は乳がんの検診装置の開発を担当している(神戸市)

前沢さん(左)は乳がんの検診装置の開発を担当している(神戸市)

IGSは大学院の博士課程修了者を技術者として採用する。賃金は年俸制で、開発した製品の売上高などの成果に応じて個別に決める。入社3~4年目には1400万~1500万円を提示するという。同社は黒字経営で、収益から賃金を出している。

「高収入が入社の決め手の一つだった」。前沢真之さん(27)は1月、2年勤めた大手重工メーカーから転職した。潜水艦を開発していたが、IGSでは畑違いの乳がんの検診装置を担当する。一般的には新卒入社3年目に当たる。前職を上回る年収に「自分の市場価値を認めてくれた。期待に応えたい」と意気込む。

「信用の低さを高給で補う」。創業者である神戸大の木村建次郎教授は狙いをこう話す。スタートアップ企業は不安定なイメージがあるうえ「関西の学生は首都圏よりも大企業志向が強い」。高額報酬を用意して大企業以外で働く選択肢をアピールする。

また、社会人と比べて専門知識や経験に劣る学生を厚遇するのは「時代の変化に素早く対応できる『最強の素人』が欲しい」(木村氏)から。顧客ニーズに応えて新しい製品の開発に取り組める発想力や柔軟性を重視する。

■大卒者の初任給は月約21万円 人手不足などで上昇傾向

厚生労働省によると、2019年入社の大学卒業者の初任給は月額平均21万200円、大学院修士課程修了者は23万8900円だった。年収換算すると250万~300万円となる。IGSの年収800万~900万円は博士課程修了者を対象とするため単純比較できないものの、産業界の賃金水準を大きく上回る。

ただ、人手不足などを背景に企業の採用意欲は高く、初任給は上昇傾向にある。大卒者、院修了者とも5年前から約5%増えた。リクルートワークス研究所の調査では、5割超の企業が21年入社の初任給を引き上げる、または引き上げる予定と回答した。

NECも優秀な研究者なら新入社員でも年間1000万円超を支給する制度を導入するなど、若手に高額報酬を提示する企業は増えつつある。人材獲得競争はさらに激しくなりそうだ。

(梅国典)

2021年春卒業予定の大学生の就職・採用活動が本格的に始まった。従来と異なるキャリアパスを用意する関西の企業・自治体を取材した。
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