関西「和」の食材をフレンチに 大久保晋さん
未来像 インターコンチネンタルホテル大阪「Pierre」料理長

2020/3/18 2:01
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おおくぼ・すすむ 1975年北海道生まれ。95年辻調理師専門学校を修了後、フランス校で1年間実地研修をした。東京で料理人・パティシエとして経験を積み、2013年「Pierre(ピエール)」開業から副料理長として携わる。14年に料理長。

おおくぼ・すすむ 1975年北海道生まれ。95年辻調理師専門学校を修了後、フランス校で1年間実地研修をした。東京で料理人・パティシエとして経験を積み、2013年「Pierre(ピエール)」開業から副料理長として携わる。14年に料理長。

■インターコンチネンタルホテル大阪のフレンチレストラン「Pierre(ピエール)」の料理長を務める大久保晋さん(44)。同レストランは2016年から4年連続でミシュラン一つ星を獲得し、2月には大阪のホテルのフレンチレストランとして初めてフランスの著名な美食ガイド『ゴ・エ・ミヨ』(日本版)に掲載された。

常に次の季節のプロモーションを想定し、年間150~200皿の料理を考える。悩んで追い込まれたとき「この食材同士を組み合わせたい」と、ぽっとアイデアが浮かぶ。ホテルのレストランは、そのシェフの料理を食べに来る個人店と違って、多種多様なゲストが来る。特にインターコンチネンタルホテル大阪は外資系でインバウンド(訪日客)も多い。いかに多くのゲストにおいしいと思ってもらえる料理を出せるか、さじ加減が難しい。

オマールエビを使った大久保さんの料理

オマールエビを使った大久保さんの料理

調理の技法はフランス料理だが、和食を食べて育ったので、自然に和の食材が思い浮かんでくる。たとえば、苦みを出すためにフランス料理だったらカカオを使うところを山菜にしてみるなどの試みだ。それに主だった食材には関西のものを使うようにしている。遠くで生産されたものを運んでくるより、土地に根ざした食材を使う方が理にかなっている。関西には味の濃い食材が多いと感じる。生産者の方々が力を入れて作っているのだろう。

関西で仕事をしているからこそ発見し、使えた食材もある。オリーブのかすを食べて育った香川・小豆島のオリーブ牛は脂がありながら、さっぱりした味わいがする。外国の方からも「おいしい」という反応を頂いた。

■大学受験で1年間浪人したが失敗し、料理人の道を志した。北海道から大阪の調理学校に進んだ。

高校は進学校だった。まわりの同級生はみんな大学に進学した。親には二浪しろと言われたが、大学に行って就職するビジョンが思い浮かばなかった。それなら好きな道に進もうと思った。小さい頃から台所に立って料理を作るのが好きだった。漠然とした憧れでフランスに行きたいと思っていたので、現地で実地研修ができる辻調理師専門学校に進んだ。

20歳で念願のフランスでの実地研修を果たした(中央が大久保さん)

20歳で念願のフランスでの実地研修を果たした(中央が大久保さん)

専門学校には全国から生徒が集まっていて、寮では色々な方言が飛び交っていた。大阪にいたが気持ちはフランスに向かっていた。1年間はフランスに行くため、がむしゃらに勉強した。休みの日は京都で過ごすことが多く、1年間でほとんどの神社仏閣を見て回った。文化、歴史に触れることに興味があった。

フランスで実地研修をしてから、約20年間にわたって東京の様々な店で働いた。次はホテルのレストランで働いてみたいと思っていたとき、13年にピエールに招かれた。大阪に1年間住んでいた経験もあったので迷わなかった。ただ当時は、インバウンドでにぎわう今の状況はまったく想像していなかった。

■25年国際博覧会(大阪・関西万博)や統合型リゾート(IR)の誘致など、大阪はさらにインバウンドを受け入れる街へと変わる。

関西には大阪の「粉もん」文化があって京都には京料理があり、神戸にも特色がある。これだけ様々なジャンルのレストランが多岐にわたるエリアは他にない。ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)にとって、精進料理を食べることは、密で濃い体験になる。それぞれの店が特長を伸ばしていき、情報をインバウンドの方に共有できれば、もっと食を楽しんでもらえるはずだ。

インバウンドに対して強みになるのは、これが日本の食文化だとうたえるものだ。フレンチの料理人として、今後も和の食材を使い、自分なりの表現をしたい。ミシュラン二つ星を目標にしている。

(聞き手は川原聡史)

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