勝てる投資家への道(2) 元お笑い芸人の井村俊哉さん

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2020/3/25 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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株式投資で1億円を超える資産を築いたスゴ腕投資家たちも、最初は株の初心者だった。数々の失敗や、厳しい相場を乗り越えながら、投資家として成長してきた実力派の軌跡から、「勝てる投資家」になるためのヒントを3回にわたり紹介する。2回目は成長株投資で3億円の資産を築いた元お笑い芸人の井村俊哉さんだ。

■将来の選択肢を増やすために投資

"年収"3万円のお笑い芸人時代から株式投資を手掛け、約3億円の資産を築いた井村俊哉さん。現在は、株好きユーチューバーのマネジメント会社Zeppyを経営し、同社が配信するユーチューブ動画にも出演。株の面白さを伝えている。

株式投資を始めたのは大学3年生の時だ。周囲の友人が就職活動に励む中、バラエティー番組が大好きだった井村さんは、お笑い芸人になることを志した。「お金があれば将来の選択肢が増えると思い、株を始めました」(井村さん)

最初の投資スタイルは短期投資。バイトなどで貯めた100万円を元手とした。「お得だ」と飛び付いた銘柄が粉飾決算を理由に上場廃止となって暴落し、80万円の損失を被るなど、様々な失敗をした。だが、「不思議と株のことは嫌いにならなかった」。大学卒業後にお笑い芸人となってからも、20万~30万円分の株を持ち続けた。

■株で成功して結婚したい

本格的に株に取り組むことを決意したのは2011年。組んでいた芸人トリオの仕事がない中、付き合っていた彼女との結婚ため、稼ぎを増やしたいと考えた。

勇気を振り絞り、「バイトを辞めて株に集中したい」と彼女に提案すると、返事はあっさりOK。再び貯めた現金100万円でスタートした。以前と同様に短期売買を行ったが、すぐに信用取引で失敗してしまう。「追い証(追加担保の差し入れ義務)が発生して、現金が足りずに慌てて彼女の部屋にあった500円玉貯金を拝借しました。もちろん後で返しましたが……」(井村さん)

株式投資で初めて手応えを感じたのは、11年3月に起きた東日本大震災の直後に手掛けた取引だ。日経平均株価は急落し、彼女の実家のある福島県は甚大な被害を受け大変な状況に。「本当に世界が終わったと思った」

しかし、震災発生の2日後に「こんな時こそ逆張りで買いを入れよう」と思い立つ。そこで、太陽光発電設備の開発と保守を手掛けるウエストホールディングス(1407)の売りが膨らんでいたことに目を付け、購入。すると次第に株価は上昇し、約50万円の利益を上げた。「この時、自分の頭で考えて株から逃げなかった経験は今に生きています」と井村さんは振り返る。

その後に購入した、飲食業の発注システムなどを手掛けるインフォマート(2492)では思わぬ大成功を収めた。芸人活動で忙しく、放置している間に徐々に株価は上昇。14年に10倍株となり、2000万円の利益を手にした。だが井村さんは「今なら競合他社の調査なども行う。当時のリサーチ量で利益を得られたのはラッキーだった」と話す。

12年に前述の彼女と結婚。13年には、アベノミクス相場の追い風を受け、デイトレードを中心とした短期投資で利益が出るようになる。資産も約1000万円増加した。だが翌年から、アベノミクス相場の追い風が弱まる。短期投資では簡単には儲からなくなり、むきになって下がった株を買ってはまた下がるという悪循環に陥った。

しかし半ば中毒状態で、短期投資をなかなかやめることができなかった。そうした中、17年に運用資産は1億円を突破。その数カ月後、芸人トリオを解散した。

■少なくとも2倍を目指す

その後、井村さんはZeppyを起業。動画コンテンツ制作に注力することで、ようやく短期投資をやめることができた。仕事の忙しさもあり、成長株の中長期投資に絞ると、一つひとつの銘柄をより詳細に調査し、少ない銘柄でも高い精度で大化けを狙えるようになった。すると驚くほどパフォーマンスが向上。現在は、企業の決算情報はもちろん、会社ホームページや求人情報、『会社四季報』、SNSでの他の投資家の動きなど、入手可能な情報をできる限り集めて、「少なくとも2倍になる」と信じられる銘柄を買う。

こうして"勝てる投資家"となった井村さんの成績を支えているのが、株を始めた当初からつけ続けている売買記録。なぜ買ったのか、なぜ売ったのか。明確に書き込み、分析を続けている。「株式投資の負けは、必ず自分に原因があります。これからも失敗原因を探ることあるのみです」

(大松佳代)

[日経マネー2020年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年5月号 1万円からの勝てる株式投資入門

著者 :
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

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