老後資金にリバースモーゲージ 自宅を担保に借り入れ

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2020/3/22 3:00
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幸子 リバースモーゲージ最大手の東京スター銀行の融資残高はここ数年で急増していて、19年9月末に約1229億円と10年前の約205億円から6倍に増えたわ。これとは別に、住宅金融支援機構の保険をつける「リ・バース60」というリバースモーゲージもあるけど、こちらも急拡大中で19年に残高が100億円を超えたの。

 すごい伸びね。

幸子 少し前までは金融機関の多くは積極的にリバースモーゲージを勧めなかったようね。利用できる地域や住宅の条件が厳しく、希望を出しても断られる人が多かったわ。融資した後、担保である家の価値が大きく下がって損するのを嫌がる金融機関が多かったのよ。

良男 今は違うのかい?

幸子 東京スター銀行は独自に担保の評価方法を工夫したり、外部の不動産会社系の保証をつけたりして担保割れなどのリスクを減らしているようね。住宅金融支援機構がリ・バース60でつける保険も、担保価値の下落に備えたものよ。保険料を払う代わりに損失を避けられるので、リバースモーゲージに以前より積極的になる金融機関も増えているみたいなの。

 利用者は今後、もっと増えそうね。

幸子 ただ、今も利用に制約は残るの。通常は50歳代後半や60歳代に届かない若い人は使えないわ。それに、毎月の利息を払うために一定の収入がないと金融機関の審査に通らないの。担保価値を認めてもらえる家の条件も広がってはいるけれど、郊外などでは受け付けが難しい例もまだあると思うわ。担保価値が低く見積もられると、希望する融資額に届かないこともあるのよ。

良男 同僚には注意点を伝えておくよ。

幸子 利用する本人と配偶者だけではなく将来、相続人となる子供らの理解も大切よ。最近は、担保になった家を売ってもなお債務が残るときでも、相続人には債務の返済が請求されないタイプの商品が増えたけど、それでも元本を手元資金で返すのか、家を手放すのかの最終判断は相続人に委ねられるわ。子供らの意向もよく聞いておかないと、後でトラブルになりかねないから注意が必要ね。

■金利、住宅ローンより高く
ニッセイ基礎研究所主任研究員 高岡和佳子さん
 家計資産のなかで不動産の比率が高い日本では、リバースモーゲージは確かに老後資金を確保する方法の一つです。ただ、優先して使う手段ではありません。通常の住宅ローンより金利が高く、年2%程度が多いからです。しかも通常は変動型で、金利上昇リスクもあります。毎月の返済が利息だけなので負担は軽く見えますが、返済期間が長くなると支払う総利息は決して少なくはありません。
 老後資金の計画はまず支出を減らす余地がないか点検し、手持ちの金融資産でのやりくりを考えるのが基本です。リバースモーゲージは、その取り組みをしてもなお想定以上に長生きして資金不足になったときの「最後の手段」といえます。また、家の担保価値の評価次第では利用できない可能性があることも念頭に置きましょう。
(聞き手は堀大介)

[日本経済新聞夕刊2020年3月18日付]

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