英ヴァージン航空、8週間の無給休暇要請 8割減便
【ロンドン=篠崎健太】英ヴァージン・アトランティック航空は16日、新型コロナウイルスの感染拡大による需要の急減を受け、目先の資金流出を抑えるための対策を発表した。従業員に8週間の無給休暇の取得を求めるほか、定期昇給の先送りや年金基金への拠出の一時抑制などを図る。トランプ米政権による欧州からの入国制限で、欧米路線を主力する経営が窮地に立たされている。

発表によると17日から、1日あたりの運航本数を通常と比べて約80%減らす。保有する機材の約75%が26日までに休止状態となり、4月中には非稼働率が最大85%に上がる見通しだ。主力路線に専念するため、非中核路線からの撤退も進める。まず英ロンドンのヒースロー空港と米ニューヨーク近郊のニューアーク空港を結ぶ便の即時廃止を決めた。
3月上旬には新規採用の凍結などを発表していた。強制的な解雇をなるべく避けたい考えで、新たに6~12カ月間の休職の提案や、自主退職の募集なども追加した。2018年の年次報告書によると約8600人の従業員を抱えている。
広報担当者は声明で「航空産業は前例のない重圧に直面している」と強調した。英航空業界として最大75億ポンド(約9700億円)規模の緊急の信用供与が必要だと訴え、政府に強力な支援を求めたことも明らかにした。
同社は大西洋路線が収益の柱になってきた。18年12月期は連結売上高27億8060万ポンドのうち、米国向け路線が19億3940万ポンドと約7割を占めた。
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