G7、新型コロナ対策連携 日銀はETF購入を倍増

2020/3/17 1:42
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新型コロナウイルスの感染拡大を受けた金融市場の動揺が収まらない。主要7カ国(G7)首脳は16日夜に「必要かつ十分な経済財政政策」に取り組むことで一致した。16日までには日本銀行が上場投資信託(ETF)の購入倍増を決めるなど各中央銀行が金融市場の安定に向けた協調姿勢を示したが、同日の米株式市場でダウ工業株30種平均は急落した。市場はさらなる具体的な政策の実行を催促している。

G7首脳は緊急のテレビ会議を開いた。安倍晋三首相は新型コロナについて「世界経済が非常に大きなマグニチュードで悪影響を受ける懸念がある」と強調。そのうえで「G7で協調しながら、これに見合う必要かつ十分な経済財政政策を実行していくというメッセージを打ち出すべきだ」と主張し、各首脳の賛同を得た。会議後に官邸で記者団に語った。

首相はテレビ会議で「G7が協力し、世界の英知を結集して治療薬を一気に開発すべきだ」とも語った。治療薬の開発と経済財政政策の実行は首脳声明にまとめて発表するという。

G7としての協調行動を具体的に進めていくうえで、各国の保健相と財務相がそれぞれ定期的に協議することでも一致した。首脳同士でも必要に応じテレビ会議を開く。

新型コロナの感染拡大で動揺が続いている金融市場を安定させるため、日米の中銀はそろって金融緩和に踏み切った。

日銀は16日、18~19日に予定していた金融政策決定会合を急きょ前倒しして、ETFの買い入れ目標額を従来の年6兆円から当面12兆円に倍増することを決めた。

決定会合の前倒し開催は初めて。日銀のETF購入は株式市場の不安を和らげるほか、株式を保有する企業の財務悪化や個人の消費心理の冷え込みを通じて、実体経済に悪影響が広がるのを防ぐ狙いがある。

大企業が資金調達のため発行するコマーシャルペーパー(CP)と社債も新たに2兆円の買い入れ枠を設けて目詰まりを未然に防ぐ。中小企業の資金繰り支援では、金融機関に原資をゼロ金利で貸し付ける制度を新設。「企業金融に万全を期す」(黒田東彦総裁)姿勢を前面に打ち出した。

2016年9月に長短金利操作による金融緩和を導入して以来の大幅な政策変更だ。収束の見えない感染症が経済に大きな打撃を与える事態を受け、異例の対応に踏み切った。政策金利の引き下げ(マイナス金利の深掘り)は見送った。

一方、米連邦準備理事会(FRB)は15日、今月2度目となる緊急の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、1.0%の大幅な利下げに踏み切った。政策金利を0~0.25%とし、08年のリーマン危機以来のゼロ金利政策を復活。今後の利下げの余地がほぼなくなる決断をした。米国債などを大量に買い入れる量的緩和も再開する。

日米や欧州などの6中央銀行は16日、米ドル資金を供給する枠組みの拡充でも合意した。金融市場の動揺で米ドルを手元に置く動きが強まっており、企業のドル調達が目詰まりを起こすのを防ぐ狙いがある。

今後の金融政策の余地が限られるなかで、各国中銀では「(コロナ感染の拡大による)給与や消費の減少に対応するのは財政の役割だ」(黒田総裁)と政府への期待が高まる。

トランプ米政権はウイルス検査の拡充や企業の資金繰り支援などに最大5兆円超を投じる。欧州では英国が4兆円規模、イタリアが最大3兆円の医療や企業の支援策をそれぞれ講じる方針だ。

日本政府は4月に緊急経済対策をまとめる。家計への現金給付や中小企業向けの減税などを幅広く検討する方針で「今までの発想にとらわれない対策が必要だ」(政府関係者)との声が上がる。

国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、新型コロナは世界で1兆ドル(約107兆円)規模の経済損失をもたらす恐れがある。主要国が市場や企業の不安を和らげる国際協調のメッセージを伝えられるかがカギを握る。

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