サウジアラムコ2割減益 設備投資を抑制

2020/3/16 17:49
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【ドバイ=岐部秀光】世界最大の石油会社であるサウジアラビアの国営サウジアラムコは15日、2019年の純利益が882億ドル(約9.5兆円)だったと発表した。原油安を受け18年の1110億ドルに比べ約2割の減益となった。需要の減退を背景に20年の設備投資を大幅に減らす方針も明らかにした。

原油価格が低迷したことに加え、価格下支えのための減産に率先して取り組んできたことが収益にひびいた。19年9月には無人機とミサイルによって東部にある重要施設が攻撃を受け、生産が打撃を受けた。それでも純利益は米アップルや欧米石油会社を上回り、世界で最も利益を生む会社としての地位を維持した。

アラムコは20年の投資額を250億~300億ドルと、前年の328億ドルよりも減らす方針をあきらかにした。19年12月に国内市場に株式を公開した際の目論見書では350億~400億ドルの設備投資を計画していた。

ロシアなどとの協調減産の枠組みがこわれたことを受け、サウジ政府はアラムコに対し、現在日量1200万バレル程度とみられる生産能力を100万バレル引き上げるよう指示した。アラムコは、中期的に需要が急増する見込みのアジアなどで下流部門への進出も加速する。

アミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は、各地で感染が広がる新型コロナウイルスの影響について「グローバルな変化に対する機敏さと適応力が重要」と指摘した。20年の配当を750億ドルと、前年の732億ドルから引き上げる方針を明らかにした。

アラムコが株式を公開した際の北海ブレント先物価格は1バレル60ドルを上回っていた。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国による協調減産の強化交渉は今月、サウジの提案をロシアが受け入れず決裂。サウジが増産方針を発表して価格は急落し、1バレル34ドル程度で推移している。

サウジ政府はアラムコを米ニューヨークや英ロンドンなどの海外市場に上場したい立場だ。欧米の石油会社に比べ見劣りすると指摘された配当の増額も企業価値を引き上げる意図があるとみられる。

しかし、サウジとロシア、米シェールによる三つどもえのシェア争奪戦は出口がみえない。新型コロナウイルスの感染拡大で需要が急速に後退しているさなかに、サウジが供給を急拡大すると表明したことで、価格は長期的に低迷する可能性が高まっている。

国内に先行上場したアラムコ株は売り出し価格を下回って推移する。時価総額は、実力者ムハンマド皇太子が主張する価値の2兆ドルを大幅に下回る。株価の低迷が続けば、念願の海外上場は一段と遠のく。

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