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学校で着る服、個性を尊重 私服もOKで自主性育む

学校でどんな服を身につけるか。着用ルールを見直す動きが中学校や高校の現場で広がってきた。私服で登校できる「カジュアルデー」を設けたり、性的少数者(LGBTなど)らに配慮し、本人の望む性に適した服装を選びやすくしたり。学校などには生徒の自主性を育み、個性や多様性を尊重するきっかけにしようとする狙いがある。

私服で登校できる取り組みを実施する学校が広がっている(長野県佐久市の佐久長聖中学・高等学校)

「明日はどんな服着てくる?」。女子生徒らが楽しげに会話しているのは長野県佐久市の佐久長聖中学・高等学校。普段は男女ともに制服着用がルールだが、2015年から中学で月1回、高校で月2回、私服でよいカジュアルデーを設けている。

私服に制限はない。生徒はそれぞれ、時と所と場合(TPO)をわきまえた服装を選ぶことが求められる。伊賀博之教頭によると、狙いは生徒の自主性を育てるとともに「学校生活にドキドキ、ワクワクする気持ちを取り入れること」。生徒からは「おしゃれを楽しめる」「私服はリラックスできる」などとおおむね好評という。

一方、一部の保護者からは「制服があるのになぜ、私服で登校しなければならないのか」といった反発が出た。学校側は「私服は強制ではなく制服で登校してもよい」と説明し、理解を広げてきた。今ではカジュアルデー当日は生徒の8割程度が思い思いの服装を楽しんでいるという。

東京都世田谷区の区立桜丘中学校は約4年前から私服での登校を認めている。それまでは私服での登校は月1回で認めていた。男女ともに指定された制服があるが、購入は義務付けていない。

私服で来る生徒がいれば、学校指定の体操着を身につける生徒も。1、2年生はほぼ全員が制服以外で登校している。

近年はLGBTの生徒らに配慮し、本人の希望に応じて制服のスカートやスラックスを選んで着用できるようにする学校も広がっている。ただ、桜丘中の西郷孝彦校長は「どちらかを選ぶ時点で、周囲にLGBTであることをカミングアウト(表明)することにつながる恐れがある」と指摘。服装を自由にする方が配慮できるとみる。

学校などで生徒らが本人の望む性に適した服装を選ぶ権利を条例で保障する自治体も出てきた。東京都港区では「性別表現の自由」を保障する内容を盛り込んだ条例改正案を区議会に提出、2月に成立させた。4月に施行される。

心と体の性が異なるトランスジェンダーの人々は、性と異なる制服を指定され、悩む人が少なくないとされる。同区立中などでは、申し出れば身体上の性別にかかわらずスカートやスラックスなどの制服を選択できたが、最終的な判断は校長に任せられていた。条例化で個人に合わせたきめ細かい対応を後押しする考えだ。

京都華頂大の馬場まみ教授(服装史)によると、学校制服は1950年代後半から、学校生活を管理しやすくするために全国に広がった。デザインには男女それぞれに求められるイメージが投影されてきたという。

着用ルール見直しの動きが一部で広がる制服だが、長期的には私服に比べて安価で済み、経済的に苦しい家庭にとっては有用との見方もある。馬場教授は「服は身体に密接に関係する。経済格差は問題だが、できるだけ個人の選択肢が多い方がよく、意志を尊重できる仕組みにしていくべきだ」と話している。(鬼頭めぐみ)

制服「あった方がいい」は9割


 学生服大手の菅公学生服(岡山市)が2019年7月に10~60代の男女1800人を対象に調査したところ、制服が「あった方がいい」と回答した人は全体の約9割に上った。
 年代別でみると最も制服の必要性を感じているのは40代で93%だった。一方で10代は86%で最も低かった。男女別では全ての年代で女性の方が男性よりも「制服があった方がいい」と答えた。
 制服の利点として75%の人が挙げたのは「毎日の服装に悩まなくていい」だった。次いで58%が「学生らしく見える」、37%が「私服を多く買わなくていいので経済的」と回答した。制服に否定的な人からは「個性がない」「縛られたくない」といった理由のほか、「体調に合わせて服を調整できない」と悩む声も上がった。

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