新型コロナ感染者、中国以外が5割超に 欧州で急拡大

2020/3/16 5:15
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「水の都」と呼ばれるイタリアのベネチアは閑散としている=ロイター

「水の都」と呼ばれるイタリアのベネチアは閑散としている=ロイター

【ジュネーブ=細川倫太郎】新型コロナウイルスの中国以外の感染者数が15日、中国国内を初めて逆転した。イタリアなど欧州を中心に140カ国・地域以上に感染が拡大し、中国以外が全体の5割超となった。世界保健機関(WHO)は流行のピークを予測するのは不可能としており、人々の暮らしや経済の混乱が長引く恐れがある。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間16日午前5時時点で、世界の累計の感染者数は約16万2687人。このうち中国以外は8万1684人と、中国国内(8万1003人)を上回った。当初、中国以外の感染者の比率は1%程度だったが、3月に入ってから急上昇した。2019年12月に中国湖北省武漢市で発生したウイルスは同国では感染が抑制されている一方、世界で猛威をふるっている。死者は6千人に達した。

特に感染が深刻なのが欧州だ。イタリアは2万1千人以上となっているほか、スペインは約8000人に達した。WHOのテドロス事務局長が「欧州がパンデミック(世界的な大流行)の中心となった」と話すなど、各国での感染に歯止めがかからない。伊北部では医師や看護師らが総出で治療にあたっている。

各国はウイルスの封じ込めのため強力な対策を打ち出している。スペインは通勤と買い物など以外では外出を認めないことを決めた。伊仏も全国の飲食店や映画館の営業を禁止した。オーストリアやスロベニアは入国制限を導入した。企業の資金繰り支援など大規模な財政出動も相次ぐ。

欧州への警戒感は強まっている。トランプ米政権は欧州から米国への外国人の入国を禁止し、16日からは除外していた英国とアイルランドも対象になる。シンガポールは15日、英国やスイスを14日以内に訪れた人に2週間の自宅待機を求めた。

人の移動の制限は経済に大きな打撃となる。グローバル化が加速するなか、国境を越えた人の行き来は世界経済をけん引してきた。欧州やアジアでは観光客が急減しており、一部では企業の生産も止まり始めた。世界経済の損失額は20年だけで100兆円を超えるとの予測も出ている。

新型コロナは感染力の強さなど不明な点が多い。WHOによると、感染者の約8割は無症状か軽症だ。感染していても職場や家庭で日常生活を送っている人は多いとみられ、知らず知らずのうちに感染が広がっている可能性がある。WHOは各国に検査や感染者の隔離など総合的に対策を取るように求めている。

この先、途上国での感染拡大も懸念される。アフリカではルワンダやエチオピアなど感染が確認される国がじわりと増えている。各国の感染者数はまだ少ないものの、医療インフラの不足や衛生環境の悪さから一気に感染が広がる恐れがあり、WHOは警戒感を強めている。正式に有効と認められた新型コロナの治療薬やワクチンはまだなく、各国は手探りの対応が続きそうだ。

フランスはパリのエッフェル塔を無期限で閉鎖した=AP

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