ドイツ、仏・スイスなど国境封鎖へ 物流は維持
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【ベルリン=石川潤】ドイツ政府は15日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、隣接するフランス、スイス、オーストリア、ルクセンブルク、デンマークの5カ国との間で国境検問を実施すると発表した。16日午前8時(日本時間同午後4時)から始める。特別な理由のない外国人は入国できなくなり、事実上の国境封鎖となる。物流や国境を越えて通勤する市民の移動は認める。
15日夜にゼーホーファー内相が発表した。ドイツやフランスなどの欧州の多くの国はこれまで入国審査なしで互いに行き来できるシェンゲン協定を結んで、移動の自由を保障してきた。欧州の盟主であるドイツが厳しい入国制限に踏み切ることで、この原則が大きく揺らぐことになる。
シェンゲン協定は平時には経済を活性化させる原動力になってきた。ただ、新型コロナウイルスの発生以降は感染が急速に広がる要因になっているとの指摘もあった。
欧州連合(EU)加盟国では、すでにポーランド、デンマーク、チェコなどが多くの外国人の入国を禁止する措置を取っている。ドイツも国内の感染者が4千人を超えるなか、厳しい措置を取らざるを得なくなった。
新型コロナウイルスの感染者数はイタリアで2万人を突破し、スペイン、フランスなどでも増加に歯止めが掛からなくなっている。国境閉鎖は感染者の流入を防ぐほか、ドイツへの買いだめを目的とした入国を防ぐ狙いもあるとみられる。
ドイツでは学校の閉鎖が全土に広がり、商業施設やレストランなどへの規制も強まっている。メルケル政権は企業の資金繰り支援を総額の上限を定めずに実施する方針を表明している。
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