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癒着の構図あらわ 関電、元助役に工事約束し発注

2000年代から380件以上

関西電力の金品受領問題を再調査した第三者委員会(委員長=但木敬一元検事総長)が14日公表した報告書は、福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(死去)と関係の深い企業との癒着の構図をあぶり出した。1980年代に起きた地元でのトラブルなどを経て「関電の弱みを握る人物」となった森山氏に対し、関電は工事発注を約束。要求に従うように増額し「不適切かつ透明性をゆがめる行為」は常態化した。

第三者委が「関電の弱み」の一つと指摘したのは、80年代に起きた高浜原子力発電所を巡る土地売買問題だ。原発の排水が海水温上昇を招き、原発近くの地元企業が保管する木材にフナクイムシによる食害が発生した。

この企業は関電に土地買い取りを依頼。関電は当初、「利用計画のない土地は取得できない」として拒否したが、森山氏の仲介で87年、関電の鑑定額の土地代(約6億円)を大きく上回る11億円での購入が決まった。

森山氏は77~87年に助役を務めた。当時は高浜原発3、4号機の増設が進んでいた時期で、関電は地元の有力者である森山氏に原発推進の協力をあおいでいた。

町役場を退任した森山氏が複数の原発関連企業で相談役などに就任すると、関電は事前に工事発注を約束。関係企業に発注するなどした工事は遅くとも2000年代に始まり、380件以上が確認された。その経緯もまた異例ずくめだ。

森山氏は11年9月、当時原子力事業本部長だった豊松秀己元副社長と会い、福井県敦賀市の建設会社を工事に参入させるよう依頼した。関電内には豊松氏が一度は断ったものの、面会後に発注できる工事がないかを調べるよう部下に指示したとの記録があった。

翌10月、森山氏は建設会社の役員が同席した会合で豊松氏に現金1千万円を渡したという。関電は12年度、この会社に計約28億円の工事を間接的に発注しており、報告書は「金品と工事の発注要求との関連性が疑われる」と指摘した。

14年に高浜原発の元所長が作成した森山氏に関する引き継ぎ資料には、兵庫県のプラント関連企業への発注予定額の達成が「ノルマ」だったことをうかがわせる記述も。02年以降、関電から同社に直接発注された工事のうち入札を経ない「特命発注」が占める案件は99%に達した。但木委員長は記者会見で「便宜供与に当たるのは間違いない」と述べた。

関電の森山氏への配慮は工事発注だけにとどまらない。助役退任後は子会社「関電プラント」(大阪市)の顧問として迎え、18年に退くまで年間200万円、計6780万円を支払った。森山氏への厚遇ぶりは関係企業も同じで、第三者委は報酬や手数料の名目で支払われた総額は「数億円単位」で、年単位でも「数千万円」と推定する。

報告書はこうした資金の一部が「関電の役員らに提供した金品の原資になった」とし、金品の見返りに関電から関係企業に工事を発注させ、自身も企業から経済的利益を得る目的があったと認定した。ただ森山氏が死去し、確実な証拠を得るのは難しいとして、但木委員長は関電幹部らの刑事責任を追及するのは困難との見解を示した。

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