ネット広告費、テレビ抜く スマホ普及で動画好調

ネット・IT
2020/3/14 21:53
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インターネット広告が広告の主流になった。2019年の日本の広告費でインターネット広告費が2兆円の大台を突破し、テレビ向け広告費を初めて上回った。スマートフォンの普及で動画広告などが好調で、食品や化粧品業界もネットへのシフトが進む。だが検索履歴などから個人の好みなどを推測する「ターゲティング広告」には消費者の反発もあり、新たな広告モデルの模索が続く。

電通が発表した日本の19年の広告費は、インターネットが前年比19.7%増の2兆1048億円だった。テレビ向け広告費は2.7%減の1兆8612億円。ネット広告の約7割はスマホ向けとされ、動画広告が高い伸びを支える。今春には通信速度が現在の約100倍になる次世代通信規格「5G」が商用化され、さらに増える見込みだ。

中でも消費財のネット広告が伸びている。アサヒビールは19年の出稿額を18年の2倍に増やした。代表ブランド「スーパードライ」で1月下旬からウェブ限定のCMを開始。スマホの利用が多い若者にアピールする。

化粧品の購入時に口コミサイトを見る人は多い。資生堂はネットで接点を持つ重要性が増していると考え、ネット広告を増加。キリンビールは第三のビール「本麒麟」で、19年のネット向け広告予算を18年比で6割増やした。販売量も6割増え「高い効果があった」(担当者)と分析する。

世界では日本より一足早くネット広告が主流になった。電通の推計では19年の世界の広告費は5921億ドル(約62兆円)で、ネット広告は43%と18年にテレビを抜いた。その6割を米グーグルと米フェイスブックが占めるとみられる。

ネット利用者が訪れたサイトや購入した品などの履歴を分析し、購入したくなる商品やサービスの広告を配信する手法で、ネット広告で揺るぎない地位を築く。

ブラウザー(ネット閲覧ソフト)で6割の世界シェアを持つグーグルは1月、ネット広告企業などの第三者が利用者のサイトの閲覧履歴を収集できる「サードパーティー・クッキー」の仕組みを22年までに段階的に制限する方針を示した。

今後は広告企業などが、クッキー情報を利用した分析に基づくターゲティング広告を打ちにくくなる。ターゲティング広告はネット広告の主流のため、影響は大きい。

ジャストシステムの19年12月の調査では、ウェブの閲覧履歴をもとにしたスマホへの広告配信を30歳代以上の利用者の半数以上が「不快に感じることが多い」などととらえていた。欧州連合(EU)に続き日本政府もデジタル市場競争会議(議長・菅義偉官房長官)でデジタル広告のルール整備を進めている。

広告業者も新たな道を模索し始めた。ネット広告のログリーは19年秋から様々なサイトの内容を読み取り、そのサイトを好む人の需要に合わせた広告を配信している。個人向けのオーダーメードではないが嗜好の方向性を合わせ興味を誘う。自動車や金融大手からの受注が増えている。

広告ベンチャーのスリーアイズ(山形県米沢市)も17年から同様のサービスを手掛け、利用社数は100社を超えた。森永康平最高財務責任者(CFO)は「クッキー制限の影響を受けにくい広告として引き合いが増えている」と話す。

ニッセイ基礎研究所の中村洋介主任研究員もターゲティング広告ほど高精度でないが、私生活を見られたような気分にさせない広告は「消費者離れを防げて、企業にはプラスだ」と話す。消費者イメージとプライバシー、広告効果を満たす取り組みが進む。

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