FRB、再び大幅利下げへ 景気不安でドル資金逼迫

2020/3/14 17:11
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パウエルFRB議長(ロイター)

パウエルFRB議長(ロイター)

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、再び大幅な利下げに踏み切る見通しだ。新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界で「1強」とされた米経済にも景気後退懸念があるためだ。企業の資金繰り環境は厳しさを増しており、コマーシャルペーパー(CP)の買い取りなど緊急措置を発動する可能性もある。

JPモルガン・チェースは12日、新型コロナの景気悪化リスクを深刻にとらえ、1~3月期の米経済成長率が2%のマイナス、4~6月期も3%のマイナスに転落するとの予測を発表した。実際にマイナス成長になれば6年ぶりで、2四半期連続なら景気後退とみなされかねない。

米経済は09年7月以降、過去最長の景気拡大局面が続く。20年も2%前後の底堅い伸びが続くと予測されてきたが、新型コロナの感染者は2100人を超え、直近4日間で約3倍も増えた。ニューヨーク・ブロードウェーの劇場が営業を休止するなど観光業は打撃が深刻で、航空会社や鉄道も減便が相次ぐ。11日にはトランプ政権が欧州からの入国禁止を決断し、米経済活動の一段の下押しが避けられなくなった。

JPモルガン・チェースによると、旅客業や観光業、飲食業などを合わせた経済規模は国内総生産(GDP)の7%に相当し、雇用も全体の12%と大きい。急激な売り上げ減は避けられず、既に航空会社などは従業員に無給休暇の取得を求めている。労働市場の拡大が米経済を支えてきたが、雇用調整に発展すれば「世界1強」とされた景気は失速しかねない。

そのため、FRBは17~18日のFOMCで再び大幅な利下げに踏み切る構えだ。3日に0.5%の緊急利下げをしたばかりだが、パウエル議長は「景気動向を見極めて適切に行動する」と、追加緩和を視野に入れてきた。市場は追加利下げを100%織り込み、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁ら各高官もその利下げ観測を追認している。

政策金利は1.00~1.25%と既に低水準だが、ゴールドマン・サックスはさらに1%の大幅利下げに踏み切ると予測する。通常の利下げ幅は0.25%だが、米株価は連日のように大幅な下落を記録しており、事実上のゼロ金利政策の復活が欠かせないとの見方だ。

異例の連続利下げが浮上する背景には、ドル資金の思わぬ逼迫がある。金融調節を担うニューヨーク連銀は12日、国債などを担保に金融機関が短期資金をやりとりする「レポ市場」で、2日間かけて1兆5千億ドル(約158兆円)の追加資金供給を実施すると決めた。短期債に限ってきた国債の買い入れも中長期債に広げ、量的緩和に近い手段を繰り出して市場の安定を急いでいる。

企業や金融機関は先行き不安を強めており、手元資金をかき集める動きが強まる。このまま金融取引が収縮すれば、金融機関は融資などの回収を急いでマネーの逆回転が起きかねない。10年を超える景気拡大によって、米企業の債務残高は16兆ドル(19年9月時点)と過去最大の規模に膨らんだ。低格付け債に始まった資金の流出が一段と悪化すれば「信用不安」という金融危機の芽となりかねない。

そのため、FRBは企業の資金繰り改善を目指して、08年の金融危機後に発動したCP買い取りなどの緊急手段も導入する可能性がある。政策金利の引き下げという「伝統的な金融政策」から、一気に非常モードに切り替え、短期的な景気下押しにとどめたい考えだ。

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