スペイン、新型コロナ感染1万人の恐れ 非常事態宣言

【パリ=白石透冴】スペインのサンチェス首相は13日、新型コロナウイルスの感染者が来週1万人に達する可能性があることなどを受け、非常事態を宣言した。政府が15日間、人の移動などを制限できる。ポーランドやオーストリアも国境封鎖や地域の隔離などの措置を取る。感染拡大が止まらず、各国は思い切った対策を取らざるをえなくなっている。
サンチェス氏は声明で「何週間もかかるが、団結して危機を乗り越える」などと語った。感染者は4千人以上で、フランスを超えて欧州第2の規模となった。最も感染が広がる首都マドリードでは、レストランなどを一斉休業する。隣国ポルトガルも似た対応を取る。

ポーランドは14日深夜から最長60日間、外国人を対象に国境を封鎖すると発表した。物流は遮らず、物資の不足が起きることはないと説明している。デンマークもフレデリクセン首相が「旅行者などの入国は拒否する」として一時的に外国人を入国させない措置を取ると発表した。
一方、欧州連合(EU)の欧州委員会は13日の内相理事会で、新型コロナに感染しているか国境で検査するよう加盟国に勧告した。手法などについて欧州委が近く提案する。国境を閉鎖することなく、感染拡大をくい止めることを目指している。
オーストリアのクルツ首相は13日、感染が拡大する西部チロル地方の一部地域を閉鎖すると発表した。滞在する全国民が自宅で隔離されることになる。英政府は、5月上旬に予定されていたロンドン市長選を含む統一地方選挙を来年5月まで延期すると発表した。
フランスではルーヴル美術館、エッフェル塔などの主要観光施設が無期限の休業を決めた。スイスでは13日、4月4日まで学校を休校すると発表した。欧州の感染拡大を受け、トルコは13日、14日から4月17日まで独仏西など欧州9カ国からの旅客便受け入れを停止すると発表した。