ハノイF1中止 新型コロナ感染拡大で
【ハノイ=大西智也】ベトナム最大の複合企業最大手のビングループなどは13日、4月3日~5日にハノイ市で予定していた自動車レース「F1ベトナムグランプリ(GP)」の開催を断念すると発表した。海外から観光客を招くことで新型コロナウイルスの感染拡大リスクがあるため。同国初のF1開催の予定だったが、同市でも感染が拡大しており防疫措置を優先させる。

メインスポンサーのビングループは2019年6月に同国初の国産ブランド車の生産を始めた。ベトナム政府もF1開催を機に世界から観光客を集め、国内の自動車産業を盛り上げていくことを狙っていた。
同市郊外の国立競技場の近くにF1で使用可能なサーキットを新設するなど準備を進めてきた。既に10万人の観客の登録があったという。主催団体は今後、新型コロナの封じ込め状況をみながら、適切な開催時期を探るとみられている。
ベトナムは新型コロナの封じ込めで周辺国よりも厳しい措置を導入している。中国本土との航空便を停止し、韓国のほかイタリア、フランス、ドイツ、英国など欧州9カ国の国民に対するビザ(査証)免除措置を一時的に停止している。
ハノイ市はこれらの国からベトナムを訪問する観光客やF1チームに例外なく14日間の隔離措置を実施することを決めている。こうした環境の中で、F1を開催することは現実的に難しい情勢になっていた。