外食・小売りに資金繰り不安、新型コロナ拡大の北海道

2020/3/14 1:00
保存
共有
印刷
その他

日本政策金融公庫札幌支店の相談窓口には多くの経営者が訪れている(3日、札幌市)

日本政策金融公庫札幌支店の相談窓口には多くの経営者が訪れている(3日、札幌市)

新型コロナウイルスの感染が拡大する北海道で、金融機関に融資や債務の返済猶予を求める相談が急増している。日本政策金融公庫に寄せられる相談は2月は1日最大90件程度だったが、3月上旬には2倍超の200件超に達した。体力に劣る飲食店や小売業の資金繰りは日増しに悪化する。

「売り上げが落ちている。受けられる融資はありますか」。札幌市内で飲食店を経営する男性は3日、日本公庫札幌支店の窓口を訪れ、係員の案内に従って申し込みの手続きを済ませた。スタッフを10人以上抱え、店の営業は続ける。実入りが少なくても人件費や光熱費はかかる。当面の運転資金は死活問題だ。

送別会シーズンの3月にもかかわらず、繁華街すすきのの客足はまばら。男性の飲食店でも2月に入って徐々に客が減り、北海道の緊急事態宣言(2月28日)以降は急減した。3~4月の予約にもキャンセルの連絡が相次ぎ、店の予約表はたちまち真っ白になった。

政府は2月、日本公庫などを受け皿に5000億円の緊急貸付・保証枠を設けて中小企業支援を始めた。日本公庫によると、北海道で相談窓口が設置された1月29日から3月6日までの問い合わせは1200件超。ほとんどは小規模事業者からで、3月以降の受け付け分がうち6割以上を占める。

日本公庫は新型ウイルスの影響を受けて売り上げが大きく減った飲食店や旅館業を対象に、1千万~3千万円を上限に返済期間を7年以内とする特別貸付枠などを用意する。既に融資を受ける企業も出始めた。

北海道は全国初の緊急事態宣言に至った厳戒態勢が続き、14~15日まで3週連続で週末の外出自粛を呼びかけている。壊滅的に少ない訪日外国人にくわえて日本人も巣ごもり消費を決め込み、飲食店や小売業は売り上げが急減している。札幌市内で複数の居酒屋を経営する男性は「宣言が出た途端、予約キャンセルの電話が鳴りやまなかった」と明かす。

日本公庫北海道地区統括室の長谷部貴室長は「緊急事態宣言後に飲食を中心に資金面で不安を感じた経営者が一気に増えた」と話す。相談を業種別にみると飲食業が全体の4割を占めて最多。小売りや宿泊業、卸売りも多く、この4業種で全体の6割以上を占める。

制度によっては申込時に直近1カ月の売上実績が必要で、2月の収支をまとめて駆けつけた企業も多かった。政府が2日から融資の保証を受けられるセーフティーネット保証を本格始動したのも引き金となった。

政府は中小企業の資金繰り支援の第2弾として日本公庫などを通じて影響を受けた企業が実質無利子・無担保で融資を受けられる制度を創設すると発表した。日本公庫は、既に融資を受けた企業にも遡って新制度を適用する予定だという。

道は緊急事態宣言の期間として19日までを想定しているが、解除するかどうかは今後の展開次第。北海道中小企業家同友会の調査では影響として「資金繰り悪化」をあげた企業が24%を占め、北海道でも経営破綻する企業が出始めた。東京商工リサーチによると食品製造の北海道三富屋(北海道栗山町)と割烹(かっぽう)料理店の花のれん(網走市)が、12日までに破産手続きの開始決定を受けた。

世界同時株安は急速に進行しており、感染拡大に歯止めをかけられなければ事業に行き詰まる企業も続出する可能性がある。北洋銀行と北海道銀行は融資条件を変更する際に企業が負担する手数料の3万3千円を免除するなど、資金繰りに柔軟な対応を始めた。

(塩崎健太郎)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]