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次の課題は資金・需要創出 JR東海の新幹線、米が安全認可へ

JR東海の新型新幹線「N700S」(浜松市)

米国に初めて新幹線を走らせる計画が一歩前進した。JR東海が技術支援している米テキサス州の高速鉄道計画について米政府が安全性を評価した規則案を公表した。総事業費2兆円規模の巨大プロジェクトだ。資金調達に加え、車社会の米国でどう需要を創出できるかがカギを握る。実現すれば日本の鉄道インフラの海外輸出に弾みがつく。

同計画は米テキサス州のダラス―ヒューストン間(約385キロメートル)に専用線を建設し、約90分でつなぐもの。JR東海にとっては台湾に次ぐ海外展開の第2弾。車両や信号は東海道新幹線のシステムを採用する。JR東海の新型車両「N700S」を導入し、8両編成で1時間2本の運行を予定している。

事業主体は米国企業のテキサス・セントラルだ。JR東海はかねて新幹線技術の海外展開に向け、プロモーション活動を進めてきた。それに呼応した米国の投資家らが立ちあげた会社だ。2020年中の着工、26年の営業開始を目指している。

日米両政府も後押ししてきた。

「日米関係のシンボルとなるプロジェクトだ。ぜひやりましょう」「グッドアイデアだ」。安倍晋三首相はトランプ米大統領に繰り返し、こう語りかけてきた。19年秋にはテキサス州知事が来日し、N700Sに試乗した。ロス商務長官は「レールなどの地上設備は『メードインアメリカ』で作らせてほしい」と話しており、雇用の創出に期待を示しているという。

JR東海の金子慎社長は「日本の技術をより高いレベルで海外に挑戦させる」と意気込む。JR東海は18年、日立製作所三菱重工業など5社で企業連合を結成した。受注に向けた準備を進めており、技術支援や受注協議を担う現地子会社2社も設立している。

壁となるのは200億ドル(約2兆730億円)の総事業費の調達だ。日米の官民双方に出資や融資を呼びかけ、協力を募る必要がある。18年9月には国際協力銀行(JBIC)と官民ファンドの「海外交通・都市開発事業支援機構」が開発支援基金として約3億ドルの資金拠出を決定している。

需要面での課題もある。世界有数の自動車大国である米国では、高速鉄道網は発達していない。遠距離なら旅客機を利用する人が多い。だがダラスやヒューストンの空港は市街地とのアクセスが不便なため、計画区間では高速鉄道需要が見込めるとみられている。

自動車に比べ二酸化炭素(CO2)排出量など環境負荷が小さいのも利点だ。東海道新幹線は列車の自動制御装置など最新システムを導入し、安全性と定時運行に絶えず磨きをかけている。JR東海はこれらも強みに、米国に挑む。

(林咲希)

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