FRBが1.5兆ドル供給 国債購入も、量的緩和に近づく - 日本経済新聞
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FRBが1.5兆ドル供給 国債購入も、量的緩和に近づく

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は12日、短期金融市場に2日間で1兆5千億ドル(約158兆円)規模の追加の資金供給を実施すると決めた。短期債に限っていた米国債の買い入れも対象を拡大し、事実上の量的緩和政策の復活に近づく。新型コロナウイルスによる景気不安の高まりでドル資金の逼迫感が強まっており、異例の大量の資金供給で市場の安定を急ぐ。

FRBで金融調節を担うニューヨーク連銀が12日、新しい資金供給方針を発表した。国債などを担保に金融機関が資金をやりとりする「レポ取引」では、12日と13日の2日間で1兆5千億ドルの大量の資金供給を実施する。具体的には12日に3カ月物を5000億ドル、13日には1カ月物と3カ月物をそれぞれ5000億ドルずつ供給する。

FRBは資金需要が一時逼迫した2019年秋以降、短期金利を安定させるためレポ取引で金融調節を進めてきた。通常は翌日物なら1000億ドル、2週間物であれば200億ドルを上限としてきたが、市場の混乱が強まった12日には翌日物の供給量を1750億ドルに引き上げていた。2日間で1兆ドルを超す資金供給は極めて異例で、金融市場でドル資金が逼迫していることを示している。

19年秋には短期国債を月600億ドル買い入れる市場安定策も開始した。ニューヨーク連銀は12日、購入対象を幅広い年限の米国債に拡大すると発表し、これまで除外してきた中期債や長期債の買い入れを13日から再開することにした。短期債は償還期間が1年未満と短いため、長期金利の押し下げ効果は限定的だった。購入対象を中期債や長期債に広げれば、市中金利に一段と低下圧力がかかることになる。

08年の金融危機後の量的緩和では、長期債や住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れて、長期金利や住宅ローン金利を押し下げてきた。FRBは19年秋以降の国債購入を「金融調節の一環で量的緩和ではない」(パウエル議長)としてきたが、新たな市場安定策は量的緩和の形式に極めて近づくことになる。

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