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欧州中銀、1200億ユーロの資産購入 金利は据え置き

(更新)
欧州中央銀行

【フランクフルト=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は12日開いた理事会で、新型コロナウイルスの感染拡大で動揺する欧州経済を支えるため、銀行への資金供給を大幅に拡大すると決めた。売り上げの急減などで資金繰りに窮する企業が増えるとみられるため、低利の資金をより潤沢に供給する。量的緩和政策では年末までに1200億ユーロ(約14兆円)の資産を追加購入すると決めた。

資金供給拡大でECBが念頭に置くのが、経営体力の乏しい中小企業だ。雇用などへの影響が大きい中小企業への融資につながるように、ECBが一部、政策金利より低い金利で資金を貸し出す。ECBはすでに「TLTRO」と呼ばれる資金供給策を導入しているが、一段の拡大が不可欠と判断した。

量的緩和政策も拡大する。現在は月200億ユーロ(約2.3兆円)のペースで国債などの資産を買い入れている。ECBは年末までの一時的な措置として1200億ユーロの資産を追加購入し、市場の安定に努める。

ユーロ圏では、イタリアで感染者が1万人を突破したほか、ドイツ、フランス、スペインでも1千人を超え、感染拡大に歯止めがかからなくなっている。ラガルド総裁は2日に「適切で的確な措置を用いる準備がある」との声明文を公表し、ECBとしても何らかの対策を打ち出す考えを示していた。

世界を見渡せば、すでに米国やオーストラリア、カナダなどが相次いで利下げを実施し、景気や物価の下支えに動いている。11日には同じ欧州の英国が0.5%の緊急利下げに踏み切り、各国中銀が協調して未曽有の危機に対応するという流れが強まっていた。

ただ、ECBの政策金利(中銀預金金利)はすでにマイナス0.5%と低く、利下げ余地は限られている。これ以上金利を下げれば、銀行の収益が圧迫されて、かえってお金が企業や家計に行き渡らなくなる副作用が膨らみかねない。すでに政策金利の水準が、副作用が効果を上回る「リバーサルレート」に迫っているとの指摘もあり、利下げは見送った。

ECBではドラギ総裁時代の2019年9月の緩和決定を巡って、緩和積極派(ハト派)と消極派(タカ派)が激しく対立し、理事会が分裂状態に陥った経緯がある。

ラガルド総裁は10日の欧州連合(EU)首脳によるビデオ会議で、各国政府が財政拡大によって役割を果たすように強く求めた。新型コロナウイルスによる悪影響を軽減し、経済を支えるためには、ピンポイントで対策を打てる財政政策が適しているというのがラガルド総裁の考え方だ。

金融政策依存を続けるのか、各国政府が財政政策で積極的に役割を引き受けるのか。危機下の政策対応は分かれ道に差し掛かっている。

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