聖火つないだ野口みずきさん 思い出のギリシャで大役
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【オリンピア(ギリシャ)=共同】東京五輪の採火式が12日、古代五輪の舞台だったギリシャ西部のオリンピア遺跡で行われた。2004年アテネ五輪女子マラソン金メダルの野口みずきさんが第2走者を務めた。
金メダルの歓喜から16年。野口さんが思い出の地、ギリシャでトーチを握った。「五輪のふるさとに戻ってきたような感じ。この空気を感じながら、一生忘れないぞと思いながら走った」。古代五輪の競技場を眼下に眺める約200メートルを、日本人最初の東京五輪聖火ランナーという名誉をかみしめながら、ゆっくりと走りきった。
16年の現役引退後、41歳になった今も月に約200キロを走っている。今回巡ってきた大役は五輪よりも「緊張した」。桜がモチーフで「とてもきれいで日本らしい」と気に入ったトーチの重みを感じながら、近代五輪の父と呼ばれるクーベルタン男爵の記念碑近くで地元ギリシャの第1走者、コラカキ選手から火を受け継ぎ「気持ちがわき上がった」。
笑顔で、ゆっくりと歩きだし、そして駆けだした。五輪開催時は国々が争い事をやめたという古代ギリシャの故事にも思いをはせ「すごく深いものを感じた」という。
オリンピアは快晴だった。新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、五輪開催を危ぶむ声は高まるばかりだが「こんな晴れやかな感じで、ぜひ迎えられたら。無事開催されることを祈っている」との願いも込め、大役をやり遂げた。