料亭で自習、タブレットで出欠 新型コロナで変わる学習

生活
2020/3/17 8:14
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新型コロナウイルスの感染拡大で小中学校の臨時休校が続いている。一部の自治体は再開したが、保護者にとって子どもたちの過ごし方や居場所づくりは頭の痛い問題だ。教室を自主学習の場として提供したり、地域ぐるみで学びの場を提供するなど、全国でさまざまな取り組みが動き始めた。既成概念を超えた対応は感染拡大の収束後、「教育現場」を変えるヒントになるかもしれない。

■自習は料亭で 京都の老舗が客間を開放

料亭の客間で自習する子どもたち(3月13日、京都市)

料亭の客間で自習する子どもたち(3月13日、京都市)

料亭のふすまを開けると席に着いていたのは子どもたち。京都市の「神泉苑平八」では3月末までの平日、きらびやかな屏風や着物が飾られた客間を小中学生の自習室として開放している。3部屋54畳のスペースを利用し、約30人の受け入れが可能。訪日客や歓送迎会の予約キャンセルが相次ぎ、「空いた部屋を活用できれば」と支配人の松原治雄さんが5日から始めた。毎日通う小学3年生の女子児童は、「ここでできた友達と一緒に勉強できて楽しい」と笑顔。2人の児童を預けた病院勤務の母親は、「子どもだけでの留守番は不安なのでとても助かる」と話した。

■オンラインで生徒を支える

在宅する生徒たちとオンラインでホームルームをする担任教師(3月11日、静岡市の静岡聖光学院中学校・高等学校)

在宅する生徒たちとオンラインでホームルームをする担任教師(3月11日、静岡市の静岡聖光学院中学校・高等学校)

「おはようございます」。午前8時30分、担任の先生の元気な声が教室に響く。朝のホームルームで、在宅の生徒たちをオンラインでつないで出欠をとり体調を確認する。静岡聖光学院中学校・高等学校は、3年前から段階的にタブレットを導入し、新しい教育のあり方を模索してきた。そういう下地づくりが今回の緊急事態に力を発揮した。教師が授業を録画して配信、生徒は持ち帰ったタブレットで授業を受けるという「オンライン学校」はその成果だ。「生活のリズムが保てる」と保護者の評判も上々。同校の星野明宏校長は「今回は一方的な配信だが、教師と生徒が双方向でやりとりできるように改善していきたい」と話す。

■商店街の空き部屋、無料で開放

名古屋市中区の栄町商店街振興組合は子どもたちを一時的に受け入れる取り組みを始めた。ビルの空き部屋を活用し、保育士らが常駐する。午前10時から午後5時まで一日10人前後、幼稚園から小学校低学年の子どもを中心に無料で預かる。

花屋の店員や絵画教室の先生らが助っ人に訪れ、子どもたちを飽きさせない様々な体験会を開いているのが特徴だ。昼食も商店街の店舗などから調達し、希望者に無料で提供する。小学生の男児を預けた40代の女性会社員は「セーフティーネットとしてとても助かる」と話す。同組合の坪井明治理事長は「商店街は地域の人によって支えられてきた。困ったときこそ恩返ししたい」。換気を徹底し、消毒液を置くなど感染防止の対応も取る。

■学校が自主学習の場を提供

感染リスクを少しでも減らすため、席と席の間隔を大きくとった教室で自主学習する子どもたち(3月13日、名古屋市北区の清水小学校)

感染リスクを少しでも減らすため、席と席の間隔を大きくとった教室で自主学習する子どもたち(3月13日、名古屋市北区の清水小学校)

シーンと静まりかえった教室で、子どもたちがドリルや読書などの自主学習に集中する。名古屋市立清水小学校では感染リスクを少しでも抑えるため席と席の間隔を大きくとっている。1教室の定員は10人まで。超えれば次の教室を使う。最初は教室だけだったが、子どもたちのストレスがたまらないように配慮して、図書室や運動場も提供する。同市教育委員会は、臨時休校が始まるとほぼ同時に、公立のすべての小・中・特別支援学校に子どもの居場所を設けるようにした。「仕事をもっている保護者から感謝の声が多く届いています」(同校の鈴木登美雄校長)

■屋外施設を小中高生に開放

相模原市の相模川沿いの森で子どもたちの楽しそうな歓声があがる。自然環境を利用した幼児教育に取り組む「ふじの森のようちえん"てって"」は、3月12日まで地元の小中高生らに活動場所の森を開放してきた。この試みが口コミで広がり大勢の子どもたちがやってきた。火をおこして食事をつくったり、竹を割って弓をつくったり、普段なかなかできない野外の遊びに子どもたちは目を輝かせる。矢島はなこ園長は「地元の保護者がボランティアで支援に加わってくれた。再び臨時休校になれば活動を再開する予定です」。

■VR映像、ストレス和らげる

VRゴーグルを着け、動物園を訪れる疑似体験を楽しむ子供たち(写真上)。臨場感ある動物の映像が流れる(3月14日、水戸市の「ハッピーテラス水戸教室」)

VRゴーグルを着け、動物園を訪れる疑似体験を楽しむ子供たち(写真上)。臨場感ある動物の映像が流れる(3月14日、水戸市の「ハッピーテラス水戸教室」)

仮想現実(VR)のゴーグルを装着し、パンダに歓声を上げる子どもたち。水戸市にある発達障害を持つ子ども向けの放課後デイサービス施設。イルカやペンギンなどの動物が次々と映し出され、臨場感ある映像に思わず手を伸ばす姿も。動物園などのレジャー施設も臨時休園が続く。少しでも体感してもらえればと、VR映像を開発するジョリーグッド(東京・中央)とパンダで有名なアドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)が提供した。同施設の市毛友里マネージャーは「VRの力でストレスや不安を忘れて楽しんでもらえたら」と話す。

(矢後衛、上間孝司、森山有紗、笹津敏暉)

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