ベアゼロ巡り「悩んだ」「申し訳ない」 トヨタ労使

2020/3/11 18:50
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トヨタ自動車の労使交渉の決着を受け11日、トヨタの経営側、トヨタ自動車労働組合がそれぞれ会見を開いた。トヨタの河合満副社長はベアゼロの背景として「競争環境を考え雇用の観点で悩んだ結果だ」とした。トヨタ労組の西野勝義執行委員長は「頑張っている組合員に対し申し訳ない」としつつも「会社の強い思いを受け止めている」と一定の理解を示した。

■経営側「雇用守るには持続的成長が大事」

記者会見するトヨタの河合副社長(右)と桑田総務・人事本部副本部長(11日、愛知県豊田市)

記者会見するトヨタの河合副社長(右)と桑田総務・人事本部副本部長(11日、愛知県豊田市)

――今回の回答に至った背景は。

桑田正規・総務・人事本部副本部長「今回はベアを出さない。背景にあるのがまず先行きへの危機感だ。自動車事業はモビリティカンパニーへの変革、CASEへの対応に迫られており、現業で稼いで投資に充てている。激しい競争の中で将来の飯の種について、まだまだ先行きが見えていない。もうひとつの背景が当社の賃金レベルは相当高いレベルになっているということだ。これ以上上げると雇用にも影響が出てくると考えた」

河合満副社長「(今回の回答は)激しい競争環境の中、雇用を守るかの観点で悩んだ結果。雇用をしっかり守るためには持続的成長が大事だと思っている。今は利益が出ているからとすべてを決めることはあり得ない」

――組合からは評価に応じてベア原資を配分するとの要求が出ていた。

桑田「(ベアゼロなので)従業員の頑張りを反映したベア分の配分はない。現状では賃金制度維持分(定期昇給分)について、頑張り分を反映するところはすでに何割かある。今回はそれを反映する。労使の協議会ではこれから先、定期昇給の全体についても頑張りの度合いをもう少し広げるべきではないかという点についても、協議して進めていきたい」

――ベアゼロが産業界に与える影響をどう考えているか。

桑田「世の中に与える影響はゼロとは思っていない。しかし、重要なのはベアの金額ではなく絶対値がそれぞれの会社に見合ってふさわしい報酬になっているのかだ。それをそれぞれの会社の労使が議論するものではないかと思っている」

――新型コロナウイルスの影響などは盛り込まれたのか。

「回答についてはそういった状況については反映していない。それが無くても今回の回答だったとご理解いただきたい」

■労組側「会社の先行き懸念、強かった」

記者会見するトヨタ労組の西野執行委員長(左)と全トヨタ労連の山口事務局長(中)(11日、愛知県豊田市)

記者会見するトヨタ労組の西野執行委員長(左)と全トヨタ労連の山口事務局長(中)(11日、愛知県豊田市)

――今回の回答の受け止めは。

トヨタ自動車労働組合の西野勝義執行委員長「昨年春以降、各職場で働き方を変える様々な取り組みやってきた。まだ道半ばの部分もあるとはいえ職場が変わり始め、会社側も組合員の頑張りを認めている。それが一時金の満額回答という結果に結びついたといえる。一方で(ベアは)ゼロ。これについては頑張っている組合員に対して、大変申し訳ない思いがある」

――組合は一律ベアを是正し、評価に応じたベア原資の配分を提案していた。組合の決意に会社は応えたといえるのか。

「組合員が意識や働き方を変えて仕事に取り組んできたという実感は持っている。その中で(ベア相当額について)新たにメリハリを付けて配分することを要求に入れてきた。そこへのこだわりは最後まであり、ベアをなんとかと考えていた」 「3回目の労使交渉以降、会社と折衝し最後の最後まで議論したのがベアゼロについて。内も外もいろんな影響が出てくる。ギリギリまでそこに対してこだわったが、会社は一貫していて、平行線だった。会社も組合員の頑張りを認めていないわけではないが、(先行きに対する)思いが強かったのかなと思う」

「頑張った人には報いたい。そこに対して会社も組合も昨年の春交渉以降、同じ思いだった。今回ははしごを外されたというより、会社が置かれている競争環境。さらには現時点で高い賃金水準が競争力を落としてしまう、そうした懸念が強かったのかなと感じた」

――ベアゼロが産業界に与える影響は。

「(トヨタグループでも)主要、中堅は個社の課題を議論するような広がりが出ている。そうではない中小については賃金の底上げ、格差是正に向けまだベアが必要という認識がある。トヨタがベアゼロということで影響が出てしまうのではという懸念は持っている」

――来年以降もベアゼロは定着するのか。

「ベアゼロが続くかは見通しが難しい。こちらも(要求を)しないということもない。その年の状況に応じて検討する」

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