欧州、シリア難民の流入阻止へ トルコと首脳会談

2020/3/10 18:04
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【ブリュッセル=竹内康雄、エディルネ(トルコ北西部)=木寺もも子】欧州連合(EU)は9日のトルコとの首脳会談で、同国が送り出すシリアなどの難民の流入を阻止する姿勢を鮮明にした。トルコには資金援助と引き換えに難民抑制を求める。トルコが期待するシリア北西部を巡る緊張緩和のための関与には消極的で、欧州を目指し、国境付近に集まる難民を押し返せるかどうかは不透明だ。

トルコのエルドアン大統領(左)を迎えたEUのミシェル大統領(9日、ブリュッセル)=ロイター

ギリシャ国境に向かって歩くシリア難民ら(9日、トルコ北西部エディルネ)=ロイター

EUのミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長は、トルコのエルドアン大統領との会談で、双方が2016年にまとめた合意に基づき、難民の渡欧を抑えるよう求めた。ブリュッセルでの会談後の記者会見でフォンデアライエン氏は、トルコが合意を守るなら「約束を前に進める」と述べた。

合意の一部である同国への60億ユーロ(約7千億円)の資金援助のうち、未払い分を支払う考えを表明した。トルコとの今後の協議で、EUは外相にあたるボレル外交安全保障上級代表が担当する見通しだ。

エルドアン氏はEU首脳との会談に先立ち、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と会った。会談後の共同記者会見でエルドアン氏は、トルコがシリアで過激派組織「イスラム国」(IS)と戦って犠牲者を出しながら多数のシリア難民を受け入れている唯一のNATO加盟国だと強調して「全加盟国の具体的な支援を期待する」と述べた。

トルコはシリア北西部のイドリブ県で、同国のアサド政権軍と軍事衝突を繰り返した。政権軍の後ろ盾であるロシアとの5日の首脳会談を経て停戦期間に入ったが、情勢はなお不安定だ。トルコ軍は同県に駐留し、政権軍と戦う複数の反体制派の一部を支援している。

イドリブ県が混乱すれば、多数のシリア難民が隣接するトルコに再び逃れてくるのは確実だ。すでに約360万人のシリア難民を受け入れたエルドアン政権に対する有権者の不満は高まる。トルコは2月下旬以降、EU加盟国のギリシャへの難民の渡航を促してきた。シリア情勢への欧州の関与を引き出す狙いだとみられる。

ギリシャに近いトルコ北西部エディルネでは9日、同国当局が組織的に難民を国境沿いに集めている様子がうかがえた。

検問の一つに立っていた警察官は「難民を専用のバスに乗せ、国境沿いに連れて行っている」と話した。国境近くで自作のテントを張っていたシリア北西部アレッポ出身のイサ・ザンマルさん(26)はトルコ当局に指紋などの個人情報を提供した事実を明かした。

目指すギリシャ側には兵士が動員され、難民の越境を阻む構えだ。ザンマルさんは「国境に近づくと、催涙ガスやプラスチック弾で襲ってくる」と証言した。危険を避けるため、国境が正式に開かれるまで待つ考えだ。

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