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パラリンピック発祥の英病院 競技の普及、今も

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2020/3/11 18:00
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ストーク・マンデビル・スタジアムでは障害のある子どもが様々なスポーツを楽しんでいた

ストーク・マンデビル・スタジアムでは障害のある子どもが様々なスポーツを楽しんでいた

英国のストーク・マンデビル病院。1948年、ここで入院患者らがアーチェリーをするスポーツ大会を開いたのが、パラリンピックのルーツである。それから70有余年、世界160カ国以上から4000人を超す選手が参加する一大イベントに発展した。パラスポーツの源流はその歴史を誇り、今も障害者を元気づけている。

笑顔、笑顔、また笑顔。2月5日、病院の隣にあるアリーナに、様々なスポーツを喜々として楽しむ子どもたちの歓声が響く。障害をもつ5~11歳の約60人が、ロンドンから列車で1時間ほどのこの地へ集まっていた。

イベントを主催する財団ウィルパワーは、病院の障害者スポーツ支援活動から生まれた団体だ。同財団のパサン・クララトゥン部長は「イベントを入り口にしていろんなスポーツに挑戦。地元に帰ってから好きなスポーツに取り組んでほしい」と狙いを説明する。

■「パラリンピアンになりたい」

ホッケーや卓球、ボッチャ、車いすバスケットボールなど7つの競技を一日で体験できる。バーミンガムから来たローラ・スレイターさん(32)は、脳性まひの長男ハリソン君(6)と参加した。「息子はバスケとテニスが好きみたい。将来はパラリンピアンになりたいと言っているわ」と笑顔で話す。

秋には「ナショナル・ジュニア・ゲームズ」という、12~18歳の子どもたちが4日間にわたり20競技を体験する大会も毎年開催。さらに毎春、大人の障害者による競技会も開く。30年ほど前から続けており、ここから巣立ってパラリンピックに出た選手もいる。

1944年に病院の脊髄損傷部門の責任者となったドイツ人のルードウィヒ・グットマンが、リハビリにスポーツを取り入れたのがすべての始まりだ。48年の最初の大会に出場したのはわずか16人。4年後にはオランダが参加して国際競技会に発展。60年に初めて五輪後のローマで開かれ、これが最初の「パラリンピック」になった。

病院は69年に体育館や野外競技場を建設。2003年に改修され、プールやジムを併設するバリアフリーのアリーナ、陸上競技場、テニスコート、宿泊棟などが集まるスポーツコンプレックス「ストーク・マンデビル・スタジアム」になった。誰でも利用できる。

■大会の歴史伝える展示品

ナショナル・パラリンピック・ヘリテージ・センターには様々な品が展示されている

ナショナル・パラリンピック・ヘリテージ・センターには様々な品が展示されている

さらに昨年3月、アリーナの一角に「ナショナル・パラリンピック・ヘリテージ・センター(NPHC)」をオープンした。パラリンピック70周年を記念した事業で、昔の競技用車いすなど大会の歴史を伝える様々な品が展示されている。

「病院のボイラー室に無造作に放置されていたものもあった。でも2012年ロンドン大会の成功で、その価値に気付いた」と担当するビッキー・ホープウオーカーさん。22年にはロンドンの五輪公園にも恒久の展示室を設ける方針だ。

病院の入り口にはグットマンの銅像が立つ。「障害者にスポーツを」との精神が脈々と受け継がれていることに、満足するかのようにほほ笑んでいた。

ストーク・マンデビル病院入り口に立つルードウィヒ・グットマンの銅像

ストーク・マンデビル病院入り口に立つルードウィヒ・グットマンの銅像

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