世界の若者のニート、21年に2.7億人に ILO

【ジュネーブ=細川倫太郎】国際労働機関(ILO)は9日、世界の若者(15~24歳)に関する雇用の報告書をまとめた。仕事や通学、求職もしない「ニート」が増え続けており、2021年には2億7300万人に達すると予測した。人工知能(AI)などの発展による仕事の自動化で、若者が職を失うリスクが大きくなるとも指摘した。
ILOによると、19年時点で世界の若者の5分の一にあたる2億6700万人がニートとなっている。このうち女性が3分の2を占める。世界経済の減速や学歴に合った仕事が不足していることなど、ニートが増える理由は様々だ。ILOは「あまりにも多くの若者が教育や労働市場から離れており、自国の経済発展を損なう可能性がある」と警鐘を鳴らした。
19年の世界の若者の失業率は13.6%。北米は9%を下回るのに対し、北アフリカでは30%に達するなど地域差が大きい。さらに働いている若者でも全体の13%は、「極度の貧困」に該当する1日1.9ドル(約190円)未満の所得で暮らしていると報告した。
ILOは若者は新しい技術に慣れるのが早い一方で、「AIやロボットに自分たちの仕事を代替する可能性があることを心配している」と分析した。従来の職業訓練で得られた技術は早々に陳腐化する恐れがあるとし、デジタル経済に対応した内容に変えていく必要があると指摘した。