新型コロナ「パンデミックが現実味」 WHO事務局長

【ジュネーブ=細川倫太郎】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は9日、世界で感染拡大が続く新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)の脅威が非常に現実味を帯びてきた」と述べた。中国湖北省武漢市で発生したウイルスは同国以外で勢いを増しており、感染は100カ国以上に広がっている。
米ジョンズ・ホプキンス大学によると、日本時間10日午前4時時点で、世界の感染者数は11万3千人を超え、死者は約4000人に達した。当初、中国以外の感染比率はわずか1%程度だったが、現在は約30%まで上昇した。特にイタリア、韓国、イランの3カ国で感染が急増している。テドロス氏は「とても多くの国が影響を受けている。時間の問題かもしれない」と語り、パンデミックが目前に迫ってきているとの認識を示した。
一方で、ウイルスの封じ込めや影響の緩和策によって「制御できる」とも強調した。各国に感染者の隔離や感染経路の分析など、あらゆる対策を取るよう改めて求めた。行動が早ければ早いほど感染を防ぐ効果が高まるとして「あきらめないことが肝心だ。我々はウイルスとの闘いに勝利できる」と呼びかけた。
WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は「中国やシンガポール、韓国、日本が危機脱却に向けて様々な段階にあるということは、我々に希望を与えてくれる。(新型コロナウイルスを)制御できるということは明らかだ。その可能性をつかむ必要がある」と語った。
WHOによると、インフルエンザ以外では、パンデミックを宣言する公式な規定はない。今後、仮にWHOがパンデミックと表明しても、各国に何かが義務づけられるものではない。一般的に、いったんパンデミックになれば、それまでの封じ込め段階から緩和や対症療法が重要になるといわれる。ライアン氏はパンデミックになる条件として、国から国への感染が制御できない状態に到達していることをあげた。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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