NYダウ一時2000ドル超安 寄り付き直後に売買停止措置発動

2020/3/9 22:42 (2020/3/10 1:10更新)
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【ニューヨーク=野村優子】9日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は急落して始まり、下げ幅は一時2000ドルを超えた。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で景気や企業業績の減速懸念が一段と高まるなか、原油価格の急落が売りに拍車をかけた。S&P500種株価指数が取引時間中に7%超下落し、すべての株式売買を一時中断する措置(サーキットブレーカー)が発動された。発動後15分後に同措置が解除された。

9日の米株価は急落した(ニューヨーク証券取引所)=AP

9日の米株価は急落した(ニューヨーク証券取引所)=AP

サーキットブレーカー制度は、2010年に米国株が瞬間的に1000ドル近く下げた『フラッシュクラッシュ』を防げなかったことをきっかけに改正され、13年に新ルールが適用された。現在の制度下で発動されたのは今回が初めて。下落率が次に13%になると再び売買の一時停止措置が発動される。下落率が20%を超えるとその日の取引が停止されるしくみだ。8日のシカゴ市場で米株価指数先物は既に、発動の基準となる下落率5%を超え、サーキットブレーカーが発動された。

株価暴落で金融システムへの懸念が高まっているため、ニューヨーク連邦準備銀行は9日、短期金融市場への資金供給を増額すると発表した。国債などを担保に金融機関が短期預金を融通し合う「レポ取引」の翌日物への資金供給をこれまでの1000億ドル(約10兆円)から1500億ドルに拡大する。資金供給を一段と強化することで流動性の不安を少しでも抑えるねらいがある。

9日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、指標油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の4月物は1バレル27ドル台をつけた。16年2月以来の安値だ。

トランプ米大統領は9日、急激な株安は原油価格の水準を巡るロシアとサウジアラビアの対立が引き起こしたものだと指摘。そのうえでツイッターに「ガソリン価格が下がることは消費者にとっていいことだ」と書き込んだ。

投資家はリスク回避の姿勢を強めている。9日未明の時間外取引で米長期金利の指標となる米10年物国債の利回りが一時、0.31%まで低下(債券価格は上昇)し、過去最低を更新した。

米30年物国債の利回りも一時0.70%と過去最低をつけた。原油価格の急落が投資家心理を冷やし、株などのリスク資産から相対的に安全資産とされる米国債に資金を移す動きが加速している。

9日午前のニューヨーク市場では、米株の変動性指数(VIX)が一時、前週末より5割近く高い62.12まで上昇した。取引時間中としては金融危機時の08年11月下旬以来の高水準。「恐怖指数」とも呼ばれるこの指数は、投資家心理を測る指標となる。新型コロナウイルスの世界的なまん延などで投資家心理が急速に冷え込んだ。

信用不安の高まりを背景に、新興国にも市場の混乱が波及している。ブラジル主要株価指数のボベスパは9日午前に前週末比で10%下落し、すべての株式売買を30分間中断するサーキットブレーカー措置が発動された。通貨レアルも売られ、1ドル=4.7レアルと過去最安値を更新した。

新型コロナの感染拡大に対する懸念の広がりを受け、トランプ氏も火消しに追われている。同氏は9日、ツイッターに「昨年1年間にインフルエンザで死亡した米国人は37000人にのぼったが、なんの閉鎖もなかった」と書き込んだ。そのうえで「新型コロナの感染が確認されているのは現時点で546件、死者は22人。考えてみてくれ」と指摘した。

ただ、米政府による新型コロナへの対応をめぐっては混乱も指摘されている。トランプ氏は「希望者は検査を受けられる」と主張するが、政府の態勢が追いついていない。相次ぐ矛盾したメッセージには国民の不信も高まっている。

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