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セコマ11年ぶり社長交代、異色のコンビニ承継へ

2020/3/9 21:00
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セコマは過疎地にも要望があれば出店してきた(紋別市上渚滑地区)

セコマは過疎地にも要望があれば出店してきた(紋別市上渚滑地区)

セコマは4月1日付で創業者の長男である赤尾洋昭副社長(43)が社長に昇格する人事を発表した。代表権のある会長に就く丸谷智保社長(65)は11年間の社長在任中、生産から販売までをこなすビジネスモデルを確立。過疎地でも出店が可能な地域密着を標榜し、コンビニ経営の新たなあり方を発信し続けた。

セイコーマートは1971年、新社長に就く赤尾洋昭副社長の父、赤尾昭彦氏(故人)が札幌市内で創業した。丸谷氏は北海道拓殖銀行出身で、2009年に社長に昇格。創業者の昭彦氏から「地域に寄り添う」考え方を引き継ぎ、大手が撤退した地域にも要請があれば出店してきた。

「ドミナント戦略」と称して一点集中で店を増やし、加盟店に消耗戦を強いる大手とは対照的だ。北海道の人口減を逆手に取り、「地域おこし」を「地域のこし」と言い換えて共生を模索。人口900人を切る紋別市上渚滑地区の店舗はバスの待合所の役割も担う。災害時や夜でも頼れる住民のインフラとして、なくてはならない存在を目指してきた。

丸谷社長は地域と共に生き残る経営戦略を貫いてきた(札幌市)

丸谷社長は地域と共に生き残る経営戦略を貫いてきた(札幌市)

こうしたビジネスモデルは18年9月の北海道胆振東部地震後の全道停電(ブラックアウト)時に脚光を浴びた。ホテルですら宿泊者を追い出す中で店を営業して商品を提供し続け、事業継続の手腕が高く評価された。物流施設を分散させ、自家発電装置を用意していたため、総菜や弁当の製造をすぐに再開できた。

セコマは北海道内で1081店舗と大手を抑えて1位の店舗を持ち、茨城県と埼玉県でも計95店舗を展開する。地域特産の食材を発掘し、アイスなどのプライベートブランド(PB)を続々と商品化。自社農場や加工工場を持ち、生乳など原料供給メーカーの顔を持つ異色のコンビニだ。

サービス産業生産性協議会(東京・渋谷)がまとめる「日本版顧客満足度指数(JCSI)」のコンビニエンスストア部門では、調査を開始した2011年から1年を除いて1位を獲得している。地震後は備蓄機能も兼ねた企業内店舗を次々に開業し、電気自動車(EV)を活用して店舗の早急復旧を目指すシステムも確立させている。

コンビニビジネスは岐路を迎えている。19年には半ば強制的な24時間営業をめぐり大手コンビニの本部と加盟店オーナーが対立し、無理な働き方が社会問題となった。セコマはフランチャイズチェーン(FC)オーナーの裁量を広く認め、こちらも共存を目指してきた。独自のノウハウが再び注目を集めている。

(光井友理)

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