汚職で起訴のナジブ氏ら入閣せず マレーシア
【シンガポール=中野貴司】マレーシアのムヒディン首相は9日、閣僚名簿を発表した。汚職疑惑を抱える政治家が復権することへの国民の批判が強い点を考慮し、政府系ファンドを巡る汚職で起訴されているナジブ元首相らの入閣を見送った。主要ポストの財務相には大手銀CIMBグループのザフルル・アジズ最高経営責任者(CEO)を抜てきした。

ムヒディン氏は9日の会見で、新型コロナウイルスの感染拡大や米中の貿易戦争といった優先対応課題を挙げ、「経験豊富な政治家や専門家を閣僚に登用した」と説明した。外相にヒシャムディン元国防相、貿易産業相にアズミン・アリ前経済相を充てるなど、閣僚経験者を枢要ポストに配置した。
ムヒディン氏の支持に回り、首相就任の流れを決定づけたボルネオ島の地域政党に配慮し、ボルネオ島の経済、社会政策を担当する閣僚を任命した。マレー系政党が新政権の中核を占め、華人系やインド系の国民の不安が高まっていることを踏まえ、多民族の融和政策を進める閣僚ポストもつくった。
ムヒディン氏と首相の座を争い、敗れたマハティール前首相は下院議員の過半数を自らの陣営に取り込み、ムヒディン政権の倒閣を目指している。ムヒディン氏は新内閣の発足後、早期に実績を積み重ね、政権基盤を強固にしたい考えだ。