医療現場に「構え」求める 国の新型コロナ患者推計

2020/3/9 18:01 (2020/3/9 21:05更新)
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韓国から成田空港に到着した乗客を誘導する検疫官(手前、9日)

韓国から成田空港に到着した乗客を誘導する検疫官(手前、9日)

新型コロナウイルスを巡り、厚生労働省は患者数が最も多くなる厳しいシナリオを想定し、医療提供体制を整備するよう求める通知を出した。国による患者推計によると、東京都ではピーク時の外来受診が1日4万人、入院患者が2万人を超える恐れがあるなど、自治体によっては医療機関がパンクする懸念もある。軽症者は自宅療養し、重症者の治療を優先するといった対策が必要になる。

厚労省の通知は6日付で都道府県などに出された。14歳以下、15~64歳、65歳以上の年代ごとに、1日当たりの外来・入院患者数や重症者の割合を示し、自治体ごとに計算できるようにした。例えば65歳以上の場合、人口の0.51%が外来受診し、0.56%が入院、0.018%が重症になると見込んでいる。

世代ごとに計算し合計すると、例えば東京都なら外来受診者が4万5400人、入院が2万450人、重症が700人などと推計される。

同省の担当者は「最悪の事態を想定して医療提供体制を準備してもらうための目安として示した」と説明。政府の「新型インフルエンザ行動計画」は、2009年の新型インフル流行や11年の東日本大震災の教訓を踏まえて「最も被害が大きい場合を想定」すると規定しており、この考え方を踏襲した。

流行のピークは都道府県ごとに患者の感染経路が追跡できない状況になってから約3カ月後と設定した。ピークまでに感染症に対応できる入院病床を増やし、重症者が使う集中治療室(ICU)や人工呼吸器の確保などを進める。軽症患者は自宅での安静療養を原則とし、急を要しない検査入院や手術を延期することも検討してもらう。

感染が疑われる人を診察する専門外来「帰国者・接触者外来」の増設も進めるほか、流行が進んだ場合は自治体の判断で一般外来での患者受け入れも検討する。病院の待合スペースなどで、ほかの病気の患者がウイルスに感染する事態を防ぐため、感染者の受診時間や入り口を別にする。持病の薬は電話などで処方箋を発行できるようにする。

推計は西浦博・北海道大教授らの研究班による計算式を使い、政府の専門家会議と連携してまとめた。推計の前提として「何の対策も講じない」か、または「効果が出なかった」との条件を設定しており、厳しめの試算となっている。

実際にはすでに大規模集会の自粛や一斉休校、小規模な感染者集団(クラスター)対策などを始めており、同省は「ピークが下がったり、時期がずれたりすることもある」としている。

厚労省はこれまでに感染症の指定医療機関などに院内感染を防ぐ体制を整えた病床を約5000床確保したと明らかにし、さらなる確保を目指している。

ただ今回の推計では一つの都道府県で数千~数万人もの入院患者が発生するとしており、大幅な病床不足が懸念され、医療機関がパンクしかねない事態も想定される。

リスクは年齢ごとに異なり、例えば10万人あたりで入院治療が必要な患者数は15歳未満は50人なのに対し、65歳以上では560人と10倍以上になる。高齢者が重症化しやすいことなどを反映した適切な医療体制の構築が求められる。

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