入国制限で訪日客「壊滅」の声、北海道経済に打撃

2020/3/9 18:15
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中国と韓国から成田空港に到着した乗客向けに書かれた14日間の待機を求める注意書き=9日午前

中国と韓国から成田空港に到着した乗客向けに書かれた14日間の待機を求める注意書き=9日午前

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が北海道の実体経済に波及してきた。日経平均株価の9日終値は前週末比で1050円下落。円相場も一時1ドル=101円台まで円高が進んだ。9日から中国、韓国から入国を制限する措置も始まり、北海道経済を支えてきた訪日外国人消費に「壊滅的」との声も聞かれ始めた。

北海道は1~6月の観光消費が2千億円以上落ち込むという試算を示した。道内の2018年度の観光総消費額(推計値)は1兆6千億円で、半年で通期の8分の1が失われる計算だ。

経済部観光局が1~2月の宿泊実績や3~6月の予約状況を仮定し、前年同期と比較して算出した。1~2月の宿泊実績を対前年同期20%減とし、3~6月の宿泊予約が同45%減だった場合、600万人分の宿泊がなくなるとしている。

ホテルや旅館、交通機関のキャンセルには歯止めがかかっておらず、札幌市中心部のホテルでは2月に延べ5千室のキャンセルが出た。担当者は「回復の見込みが立たないと、対策の打ちようがない」と嘆く。

コンビニ店、セイコーマートを展開するセコマ(札幌市)では外出を控える動きや買いだめの反動で客足が鈍り始めた。丸谷智保社長は「消費マインドの冷え込みにより、コンビニの売り上げが回復するのは他業界より遅くなる」とみる。

訪日客への依存度が高い百貨店も厳しい。大丸札幌店(札幌市)の訪日客売上高は多い時期では全体の20%程度に高まるが、足元では数%まで落ち込む。8階の訪日客向け化粧品売り場は3月中は閉鎖しており、担当者は「訪日客需要は壊滅的だ」と肩を落とす。

円高・ドル安は輸出産業に与える影響が大きい。自動変速機を手掛けるトヨタ自動車北海道(苫小牧市)は2月中旬から減産を続ける。トヨタ自動車の20年3月期の想定為替レートは1ドル=108円で、採算の悪化は避けられない。

新型コロナの感染者について会見する札幌市の担当者(9日、札幌市)

新型コロナの感染者について会見する札幌市の担当者(9日、札幌市)

家具メーカーのカンディハウス(北海道旭川市)は、主要なアジア向け輸出先である中国で受け入れ体制が整わず「止まっている状況」。新型コロナの感染が拡大するイタリアからも椅子に使う革などの部材を仕入れており、影響を懸念している。

日本国内は販売会などのイベントが軒並み中止に。感染が収束するころには「取引先のハウスメーカーを回り商談の機会をつくりたい」(染谷哲義常務)と挽回を見据える。

9日、新千歳空港(北海道千歳市)の国際線ターミナルは人影もまばらだった。新千歳空港の年間利用者は中国と韓国が全体の半数程度。新千歳空港ターミナルビルを運営する北海道エアポート(同市)は「影響は大きい」と話す。

減便や運休は中国・韓国便以外にも広がる。国土交通省新千歳空港事務所によると、3月の新千歳の国際線は当初計画していた便数から8割ほど減る見通し。

道内最大の貨物量がある苫小牧港(苫小牧市)では中国からの船の到着遅れが目立つ。港のコンテナ数量が通常の半分程度にとどまることもあるといい、苫小牧港管理組合(同市)の佐々木秀郎専任副管理者は「ここ数年ない状況」と頭を抱えている。

(高橋徹)

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