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V本命のヤンキース 故障者続出、波瀾万丈の気配
スポーツライター 杉浦大介

2020/3/9 3:00
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メジャーリーグの開幕まで半月余りとなったこの時期に、ヤンキースが早くも故障者続出に苦しんでいる。

投手陣では昨季15勝を挙げた左腕ジェームズ・パクストンが2月に腰の手術で離脱したのに続き、2年前に19勝のルイス・セベリーノは右肘のトミー・ジョン手術(側副靱帯再建術)を受けて今季絶望となった。

セベリーノは右肘のトミー・ジョン手術を受けて今季絶望に=USA TODAY

セベリーノは右肘のトミー・ジョン手術を受けて今季絶望に=USA TODAY

野手陣も厳しい事情は変わりない。特に外野手で離脱が相次ぎ、アーロン・ヒックスは昨年10月31日にトミー・ジョン手術を受け、今春にはジャンカルロ・スタントンが右ふくらはぎを痛めた。3月6日には主砲のアーロン・ジャッジも右肋骨の疲労骨折を起こしていることが発覚し、今後の状態次第では手術を受けて長期離脱の可能性もあるという。特に27歳のジャッジはチームの「顔」のような存在になっていただけに、その衝撃は大きかった。

主砲ジャッジが右肋骨の手術を受けて長期離脱となればチームへの影響は大きい=AP

主砲ジャッジが右肋骨の手術を受けて長期離脱となればチームへの影響は大きい=AP

「エキサイティングだよ。私たちは大きな期待を抱いているし、そんな中でプレーできることが喜ばしい。王者を目指す戦いを楽しみにしている」

春季キャンプ初日となった2月13日、アーロン・ブーン監督が笑顔でそう語ったのがすでに遠い昔のことのように感じられる。その時点でのそんな言葉は身びいきや誇張によるものではなく、実際にヤンキースの前評判は高かった。

弱点と目された先発ローテーションのテコ入れのために、今オフ、9年総額3億2400万ドル(約342億円)という大枚をはたいて昨季20勝、防御率2.50のゲリット・コールを獲得。これでコール、セベリーノ、田中将大、パクストンと続く先発4枚看板を完成させたと思われた。

打線にもジャッジ、スタントン、ゲイリー・サンチェス、DJ・ラメイヒューといった強打者がずらり。攻守両面で非常にパワフルなチームとなった上に、最大のライバルであり続けてきたアストロズ、レッドソックスはサイン盗み事件発覚の余波で戦力ダウンが予想されることもあって、今季はヤンキースがア・リーグ優勝の本命と目されていた。ところが――。

さらなる戦力補強を模索との報道も

「まだどのチームともトレードの話はしていないよ」

さらなる戦力補強を模索するという報道が流れたことに対し、3月3日、ブライアン・キャッシュマン・ゼネラルマネジャーが交渉の事実を否定する一幕があった。この時期にこんな話が出ること自体、順風満帆ではないことの表れだろう。セベリーノだけでなく、パクストン、ジャッジ、スタントン、ヒックスはそろって開幕戦出場が難しそうなだけに、シーズン中にもフロントの補強手腕が改めて問われることになるかもしれない。

故障者が相次ぐヤンキース。田中ら残りのメンバーには大きな負担がかかる=共同

故障者が相次ぐヤンキース。田中ら残りのメンバーには大きな負担がかかる=共同

ヤンキースは昨季も故障者続出に悩まされながら、それでも地区優勝を果たして底力を証明してみせた。今季も結局はハイペースで勝ち抜いたとしても、驚くべきことではないのだろう。ただ一ついえるのは、特に先発投手陣では、コール、田中といった残りのメンバーにより大きな負担がかかるということ。28度目の「世界一」に向け、名門球団の旅路は戦前の予想以上に波瀾万丈(はらんばんじょう)なものになりそうな雰囲気がすでに色濃く漂ってきている。

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