レバノン、初のデフォルトへ 首相「国債返済を延期」

2020/3/8 3:14 (2020/3/8 19:19更新)
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7日、テレビ演説するレバノンのディアブ首相(ベイルート)=ロイター

7日、テレビ演説するレバノンのディアブ首相(ベイルート)=ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】中東の小国レバノンのディアブ首相は7日、まもなく償還期限を迎える12億ドル(約1260億円)の外貨建て国債について、支払いを延期すると表明した。経済の低迷や放漫な歳出で長らく財政危機に陥っていた。政府は債務再編による財政再建を目指すが、すでに破綻寸前の経済や政治混乱がさらに悪化する恐れがある。

返済期限は9日に迫っており、初めての債務不履行(デフォルト)となる。ディアブ氏は7日夜のテレビ演説で「これ以上の経済の消耗を防ぎ、国益を守るためには返済を延期するしかない」と述べた。債務再編に向けてすべての債権者との交渉に臨むという。

ディアブ氏は、レバノンの政府債務が900億ドルと国内総生産(GDP)の170%に達し、2020年中に計46億ドルの債務と利息が返済期限を迎えると明らかにした。

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の逃亡先であるレバノンは1990年まで続いた内戦後、復興のため多額の資金を外国から借り入れた。18の宗派が共存するため議席や政治ポストなどを分け合う仕組みを取り入れると、各派閥が抱える公的部門が肥大化し、財政赤字も拡大した。

借金を補ってきた経済成長も、2011年から始まった隣国のシリア内戦や近年の原油安による湾岸経済の低迷などで失速し、歳入の半分を利払いに費やす状態に陥った。18年の経済成長率は0.2%だった。

デフォルトは時間の問題だとみられ、ドルに対して固定している通貨は19年9月以降、闇市場の実勢レートで半分ほどになった。資金不足から銀行は預金者に対して引き出しを制限し、多くの企業などが休業に追い込まれる状況が続く。政府は無理に返済すれば破綻寸前の国民経済がもたないと判断した。

もっともデフォルトになれば外国からの資金調達はさらに難しくなる。大手銀バンク・アウディのマルワン・バラカット・チーフエコノミストは「歳出の段階的削減や徴税機能の強化、政府財産の売却などの抜本的な改革を含む債務再編案が必要だ」と指摘する。約3カ月の政治空白を経て1月に発足したばかりのディアブ政権が指導力を発揮できるかは不透明だ。

レバノンではイラン革命防衛隊との関係が深いイスラム教シーア派政党ヒズボラが政権に参画していることで、欧米などから支援も受けにくい。ヒズボラは国際通貨基金(IMF)への支援要請に反対の立場だ。

一方、経済規模の小さいレバノンのデフォルトによる国際金融市場への影響は限定的だとの見方が多い。国債の大半は国内銀行が保有する。レバノン銀への外国銀行の与信残高も40億ドル程度と小規模にとどまる。

ただ、新型コロナウイルス感染拡大で新興国から投機マネーを引き揚げる動きが出ている。レバノンのデフォルトが投資家心理に働き、慢性的な経常赤字や財政赤字を抱える他の新興国にも影響を与える恐れがある。

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