OPECと非加盟国、減産強化で合意できず ロシア抵抗 - 日本経済新聞
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OPECと非加盟国、減産強化で合意できず ロシア抵抗

(更新)

【ウィーン=飛田雅則】石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国は6日、ウィーンで閣僚級会合を開いた。減産量を追加する案や、3月末に期限を迎える現行の枠組みの延長についても協議したが、合意できなかった。新型コロナウイルスが石油需要に影を落とすなか、OPEC盟主サウジアラビアが減産強化を主張したが、石油市場でシェア低下を恐れるロシアが反対し溝が埋まらなかった。

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6日の会合は事前に実施されたサウジとロシアの個別協議が長引き、定刻を大幅に遅れて開始された。協議が決裂したことで、記者会見はキャンセルされた。サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は記者団に詳細を語らず会場を後にした。ロシアのノワク・エネルギー相は「4月1日から減産は求められていない」と語った。

主要産油国の協議が不調に終わったと伝わると、ロンドン市場に上場する国際指標の北海ブレント原油先物は6日に一時、前日比9%安の1バレル45ドル台まで下落した。

石油市場でシェア競争をやめて価格の下支えを狙い2017年1月から続いてきた世界最大級の産油国であるサウジとロシアの協調体制に亀裂が入った。英調査会社ウッドマッケンジーは「市場心理への打撃となった」と指摘した。

「OPECプラス」が続けてきた枠組みは、今年1~3月で18年秋に比べ日量170万バレルの減産。中国から広がった新型コロナの感染拡大が企業活動や人の移動に必要な燃料需要に影を落とし、サウジなどOPEC加盟国は原油価格の下落に歯止めをかけるため、減産の拡大を進める考えだった。

事前にOPECプラスが開いた実務者協議で、サウジが主導し日量60万~100万バレルの追加減産を提案した。OPECは5日の臨時総会で上積みして日量150万バレルの追加減産と、12月末まで減産を続ける案で合意した。6日の拡大会合でロシアとの合意を目指していた。

各国に減産量を割り当ててきたが、イラクなどの順守率は低く、サウジは割当量を超えて産油量を減らしてきた。「ヤミ増産」で石油収入の拡大をもくろむ国もあり、減産の痛みを引き受けるサウジには不満もあった。

サウジは社会、経済改革を進めるうえ、上場させた国営石油会社サウジアラムコの株価対策のためにも原油価格の下支えが不可欠になっていた。そのためサウジは減産強化に躍起になっていた。

一方、ロシアは新型コロナの石油需要への影響を判断するには時期尚早との立場を崩さず、OPEC側の提案を拒否。ロシア石油大手はOPECプラスの枠組みが経営や生産の計画を拘束しているという不満を伝えていた。減産を続ければ、米国のシェール企業に石油市場でシェアを奪われるとの懸念もあった。

ロシアのプーチン大統領は3月に入って、「ロシアの経済や財政にとって、いまの原油の価格水準は受け入れられる」と語った。同氏は政府が予算編成の前提としている原油価格は42ドル台としており、サウジと比べて減産拡大への切迫感に乏しかった。

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