震災9年、被災企業の3割が休廃業 帝国データ調べ
東日本大震災で大きな被害を受けた地域の企業を対象に、帝国データバンク仙台支店が実施した震災9年後の追跡調査によると、全体の3割にあたる約1700社が休廃業に追い込まれたことがわかった。業種別では小売業やサービス業が多かった。地域密着型の小規模店舗が住民避難による顧客の減少や後継者不足を背景に事業継続を断念したとみられている。
調査は岩手、宮城、福島3県で震災発生時の津波被害が特に大きかった地域と、東京電力福島第1原発事故による警戒区域・避難区域に本社を置いていた計5004社が対象。2011年7月以降6回実施している。
震災から9年後も事業継続している企業は66%の3295社だった。休廃業は34%の1709社で19年3月の前回から49社増。事業存続の割合が高かった業種は運輸・通信業で79%だった。次いで卸売業(72%)や不動産業(68%)となった。
県別にみると、福島で事業継続している企業は40%の489社で、70%を超えた岩手や宮城に比べて低かった。原発事故の影響がいまだに強く残っているためだ。ただ今回の調査では、休業中の企業が再開したことで、3県の中で福島だけ事業存続している企業が増えた。原発周辺で工業団地や住宅などインフラ整備が整ってきたことが要因とみられる。
東日本大震災から11年、復興・創生期間がほぼ終了した被災地。インフラ整備や原発、防災、そして地域に生きる人々の現在とこれからをテーマにした記事をお届けします。
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